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第978話 別離 21-1

 藤堂がいなくなってから、時間はあっという間に流れた。そしてなにも進展がないまま一週間が過ぎてしまった。僕は相変わらず学校を休んでいる。校長宛てに送られてきたメールの件が片付いていないためか、自宅待機という名の自宅謹慎になっていた。いつ学校に復帰できるかはまだわからない。  そんな藤堂にも会えず、することもない退屈な日を過ごしていたある日――来客を知らせるチャイムが部屋の中に響いた。平日の昼間に訪ねてくる人など珍しい。なにかの勧誘だろうかと、少し重たい腰を上げてドアフォンの通話ボタンを押した。 「こんにちは」  小さな画面に映し出されたのは見覚えのある人物。常に眉間にしわが寄ったしかめっ面の強面は警察の野崎さんだ。その後ろでちらちらと画面に映っているのは館山さんだろうか。 「こんにちは、今日はどうしましたか?」  この二人が訪ねてくる理由など事件のほかにないのだが、招き入れるべきなのかこのままで話が済むのか判断がつかない。 「西岡さんにお知らせしたいことがありまして。学校にお伺いしたらお休みされていると聞いてこちらに来ました。お時間少しよろしいですか」 「そうですか、わかりました。どうぞ上がってきてください」  少しお時間くださいというのはやはり決まり文句なのだろうか。しかしわざわざ昼間に学校へ行くくらいだから、なにか急ぐ話があるということだろう。僕はエントランスの自動ドアのロックを解除し、来客を招き入れるべくお茶の準備をすることにした。  エントランスから部屋まで数分だ。お湯を沸かしているうちに野崎さんと館山さんは部屋に到着した。いつものようにリビングに通し、ソファに座った二人の元へお茶を運ぶ。 「なにか進展でもあったんですか?」  テーブルに湯呑みを二つ置いて向かいのソファに座れば、二人は小さく会釈をする。話を促すように声をかけて、僕は小さく首を傾げた。  僕と藤堂の事件でまだ解決していないことと言えば、事件の共犯者と現場を立ち去った二人のことだ。

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