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第984話 別離 22-3

「実家に電話したら心配されるし、夜に明良にでも電話しようかな」  怪我がよくなったら学校に復帰するのだと母親には話していたし、まだ休んでいると知れたら余計な心配をかけてしまう。その点、親友である明良は何度か電話をもらい現状を話し相談をしている。僕が学校を辞めるつもりでいると言ったら怒っていたけれど、それでも話はちゃんと聞いてくれるのがあいつのいいところだ。 「あー、それにしても、藤堂がいないと僕はずぼらに逆戻りだな」  テーブルの上の湯呑みを片付けてキッチンでぼんやりしていたらお腹が鳴った。そういえば朝からなにも食べていない。もうお昼はとっくに過ぎて十五時を回っていた。そういえば昨日の夜もなにも食べていなかったような気がする。けれどさらにその前のことを考えるとうな垂れてしまうので、それは気づかなかったことにした。 「んー、なにもないんだよな」  藤堂の手料理がなくなり、母親も実家に帰り、すっかり藤堂に会う前の食生活に戻ってしまった。冷蔵庫の中身は見なくてもわかる、空っぽな状態だ。こんな時だからこそちゃんと食べて健康でいなければと思うのだが、基本自分に関してはものぐさな性格で、身体が要求しないと食べる気にならない。 「こんなじゃ駄目だよな」  藤堂に会ったら怒られてしまうかもしれない。痩せたりするとすぐに気づかれるんだ。それでもっと栄養つけないと駄目だって昼ご飯や夜ご飯が豪華になる。藤堂が作るものはなんでもおいしいから、いつも残すことなく食べられる。 「最近はおいしいって感じること少ないな」  毎日出来合いのものやカップラーメンばかり食べているから余計なのかもしれないが、ご飯がおいしいと感じない。 「駄目だ! これは落ち込んでる。外に出よう。外でご飯食べよう」  ぼんやりとしたまま気持ちが沈んでいくのを感じ、大声を上げて気持ちを紛らせた。

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