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第140話 想い 1-5

 好きな相手を女性のように扱ってしまうその心理はわからないでもない。彼にとっては極自然なことだろうし、誰しも好きな相手には優しくしたいものだ。 「そういう優哉くんはどうなんだよ」 「あの人はそういうのに疎いのであまり気にしてないと思いますよ」  あまり優しくし過ぎると照れて慌てふためいてしまうところはあるけれど、その内側にある俺の愛おしさを感じ取っていてくれるかと言うと、それは謎だ。 「なに気に両想いなんじゃないの?」 「だったら嬉しいですけど」  にやにやと笑みを浮かべ、細められた目にため息が漏れる。  丸二日も顔を合わさず言い訳もないままでは、いくら疎いと言っても愛想を尽かされても文句は言えない。いや、まったく向こうからも連絡がないことを考えれば、愛想どころか。そもそもなんとも想われていない可能性だってある。 「メールか電話してみたら」 「そうですね」  そう呟きながら白いシャツとサロンをクリーニング行きの籠に放り込むと、目の前のロッカーから微かに鈍い音が聞こえた。ハンガーにかかっていた制服に袖に通し、鞄から着信を知らせ点滅する携帯電話を取り出す。 「え?」  その着信に俺は思わず目を疑った。 「どうしたの優哉くん」 「お疲れ様です」 「は?」  その着信を認めてから次の行動に移るまで、自分でも驚くほどに早かった。とりあえず形だけの身支度を調え、驚きをあらわにされていることなど気にも留めず俺は走り出した。

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