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第1028話 別離 33-1

 どんな時でもひたむきに僕を愛してくれる藤堂。僕のことを誰よりも想ってくれている優しい人。彼は傷つきながらそれでも懸命に負けてしまいそうな自分に抗おうとする。繊細で弱くて脆いけれど、心の芯にあるものはきっと金剛石のような輝きがあるんじゃないかと思えた。どんなに打ち据えられても、純粋な想いは歪まない。 「佐樹さん、俺もっと強くなります。何度も誓ったけど今度こそ変わりたい」  藤堂が持つものは外側の強さだけじゃなかったんだ。決意を秘めた眼差しを僕は眩しく想いながら見つめた。 「うん、大丈夫。お前にならきっとできるよ」 「佐樹さんにまた惚れ直してもらえるくらいの男になりたい」 「そっか、それは楽しみだな。期待してるぞ」  まっすぐとした瞳に笑みを返して、僕は愛おしさが伝わればいいとそっと唇を重ねた。そして何度もついばむような口づけを交わしていると、ふいに輪郭をなぞるように舌先で唇を撫でられる。触れ合うだけではないその感触に小さく肩が震えた。 「……んっ」  唇に吸い付く濡れた感触は肌をぞくりとさせる。こんな風に口づけるのはいつぶりだろう。その先を請うようにうっすらと唇を開けば、その奥に濡れた舌先が滑り込んだ。ひどく甘いその口づけに酔いそうになる。 「はぁっ、ん……」  舌先が絡んでこすれ合うたびに背中を快感がよぎる。口内を弄られ、息すら絡め取られてしまいそうで、しがみつくように抱きついてしまった。けれどそれと共にふっと唇が離れていく。 「藤堂?」 「そんな顔をしないで、このままここで押し倒してしまいそうだから」  首を傾げて藤堂を見つめたら、彼は苦笑いを浮かべて僕の頬を撫でる。その感触にすり寄れば、そっと口先に口づけを落として僕の身体を抱き上げた。そして恭しいくらいに優しくベッドに横たえる。

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