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第1045話 始まり 3-1

 あれからしばらくみんなで話をして、お茶を飲んでお菓子を食べて過ごした。そしてそのあとは各々の仕事に戻っていった。放課後になってもやることはたくさんある。小テストを作成したり課題をチェックしたり、そんな細かい作業をしながら仕事をこなしていると、ふいに今日の予定を思い出した。慌てて時計を見ると時刻は十七時半を少し過ぎたところだ。広げたノートやプリントをかき集めてまとめると、僕は慌ただしく立ち上がった。 「センセ、終わったのか」 「ああ、悪い。もう平気だ」  立ち上がった僕を、斜め前の席に座っていた峰岸が見上げる。そして僕の言葉に小さく頷くと、彼も机の上を片付けゆっくりと立ち上がった。 「じゃあ、行くか。あいつらもう着いたって」 「え! それならそうと言ってくれればいいのに」  なんてことはない口調で言うけれど、約束の時間は確か十七時半だったはずだ。僕が思い出さなかったら仕事が終わるまで待っているつもりだったのだろうか。いや、しかしそれはさすがにないか。今日の予定を組んでいるのは僕と峰岸だけじゃない。ほかにも待っているメンバーがいる。 「お先に失礼します」  書類などを鞄に詰め込むと、僕はそれを持って出入り口に向かう峰岸の背中を追いかけた。そして廊下を抜け職員玄関を抜けると、僕はのんびり過ぎるほどのんびりな峰岸の背中を押して校門へと急いだ。  約束では残りのメンバーは確か校門前で待っていると言うことだった。校門を出て左右を確認すれば、斜め右方向の反対車線に白のミニバンが停まっている。その車に視線を向けると、すぐ傍のガードレールに寄りかかり携帯電話を片手に立っている人を見つけた。 「三島!」 「あ、西やん、峰岸お疲れさま」  車の通行を確認して道を渡り、少し大きめな声で待ち人に声をかける。すると彼――三島はぱっと顔を上げてこちらに向かい柔らかい笑みを浮かべた。

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