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第1057話 始まり 6-1

 こうして優哉を目の前にすると、四年と半年という時間は思っていた以上に長かったのだなと思えた。いつもどこか切なさを感じさせていた瞳はいまでは強い光を含んでいる。まっすぐで淀みないところは変わらないけれど、前よりもきっと心が成長したのかもしれない。  広くなった肩幅。見上げる背丈は、もしかしたら少し前より高くなっているんじゃないだろうか。なんだか思わず抱きつきたくなる包容感がある。 「なあ、優哉」 「なんですか?」 「おかえり」  ずっと言いたかった言葉を口にしたら、なんだか胸が熱くなってきた。慌てて俯いたら込み上がってきたものがあふれて、はらはらとこぼれ落ちてきてしまう。あふれだすものは止まらなくて「ごめん」と謝ったら、大きな手で頬を拭うように撫でられた。そしてしっかりと肩を抱き寄せられる。 「佐樹さん、ただいま」  優しい声で返してくれた返事にほっとした気分になる。待ち焦がれていた再会は思った以上に心を満たした。夢みたいだと思っていたけれど、これは夢なんかじゃない現実だ。ようやく帰ってきたんだ。  こぼれる涙を拭って顔を上げると、僕はいまできる精一杯の笑みを浮かべた。その笑みに優哉もまた至極優しい笑みを返してくれる。 「泣くつもりなかったんだけど、お前の顔を見たら安心した」  あふれるばかりだった涙がやっと止まれば、熱くなった気持ちも少しすっとして落ち着いた。それと同時に周りから感じる視線にも気づいてしまう。大半は僕たちのことなど気にも留めていないが、男二人でいつまでも抱き合っていると余計な人目を引いてしまう。しかし慌てて離れたら、少し優哉は不服そうな顔をした。 「これで我慢しろ」  拗ねた優哉が可愛くて僕は甘やかすように手を取って握りしめた。そうしたら眉間に寄ったしわがほぐれて、満面の笑みが返ってくる。

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