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第1059話 始まり 6-3

 電話口で聞こえる声が目の前でも聞こえてくる。じとりと目を細めて見れば、三島は少し引きつった笑みを浮かべてこちらに片手を上げた。その両隣でもまた片平と峰岸がひらひらと片手を振って、貼り付けたようなぎこちない笑みを浮かべている。 「相変わらずだな」  三人の様子に大きなため息を吐き出した優哉は肩をすくめた。それに対し「久しぶり」と三人は揃えたように声を上げる。なんだか一緒にいる時間が増えて性格が似てきたんじゃないだろうか。片平や峰岸は昔からこんなだったけど、三島は少し悪影響じゃないかと思えて心配になってくる。小さく息をついて携帯電話を閉じると、僕はそれを上着のポケットにしまった。 「無事に西岡先生と優哉が再会できたところで、ご飯行こう」 「二人して眉間にしわ寄せるなよ」 「お店予約してあるから行こうか」  呆れた視線で見つめる僕と優哉に対し、片平がいち早く逃げ出すように身を翻して歩き始める。そしてその後ろを峰岸と三島がついて行く。足早な後ろ姿にまた思わずため息を吐き出してしまうが、三人なりに気を遣った結果なのだろうと思えば文句を言いようがない。こうしてこの場所に連れてきてくれたのも彼らだし、感謝の気持ちのほうが大きいくらいだ。 「行くか」 「そうですね」  顔を見合わせて繋いだ手を強く握りしめると、僕と優哉は三人の背中を追いかけた。時折こちらを振り返って笑う彼らはいつもに増して元気だ。僕にばかり気を遣っているけれど、なんだかんだで優哉が帰ってきたことがみんな嬉しいのだろう。先ほどのことは大目に見ることにするか。 「先生、早く早く!」 「腹減った。二人とも早く来いよ」  それからまた三島の運転する車に乗って移動をすることになった。車内は行きよりもずっと賑やかな話し声と笑い声が響いて、和やかなものだった。

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