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第1062話 始まり 7-2

「いまはいいけど、仕事が始まったら飲食じゃ休みが合わねぇな」 「学校は土日祝日休みだし、飲食はその日が稼ぎ時だもんね」  言われてみれば確かに休日になればなるほど優哉は忙しくなりそうだ。顔を見合わせた峰岸と三島の姿に思わず二人の時間のずれを考えてしまう。しかしいままで会わないどころか、メールや電話さえもしていなかった僕たちだ。家に帰ったらどちらかがいる生活ならばそんなに苦ではない気がした。 「もともと優哉が進みたい道はわかっていたし、そのくらいのずれは大したことないぞ」 「また先生、無自覚に惚気てる」 「え?」 「ほんと西岡先生は優哉のことなら大抵のことは受け入れられるのよね。それって簡単そうで難しいのよ」  そういうものなのだろうか。しみじみと語る片平に思わず首を傾げてしまった。なんでも許容できるわけではないけれど、優哉のことは大体頷ける自信はある。よほどじゃなければ大丈夫なつもりだ。また人生の選択に迫られたら悩むだろうが、そうそうあんなことは何度も起きないだろう。 「色んなことあったしな。少しくらいのことじゃへこたれないよ」  隣を見たら少し心配そうな顔があって、僕はその表情に大丈夫の気持ちを込めて笑みを返した。不安そうな顔を見ると抱きしめたくなる。でもさすがにいまはそれができないから、なだめるように軽く背中を叩いた。 「なにはともあれ、西岡先生はこれから新婚生活なのね」 「……っ!」  なに気ない口調で呟いた片平の言葉に、思わず口に含んだ水でむせそうになった。ふいに四人の視線が僕に集まりじわじわ顔が熱くなる。改めてそんなことを言われると変に意識してしまうではないか。 「いままでの分、甘やかしてもらえよ」 「優哉は西やん大事にしなよ。こんなに待っててくれる人そうそういないんだからさ」 「まったくだわ。仕事忙しいだろうけど西岡先生を優先にしなさいよ」

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