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第1078話 始まり 11-2

 昔ひと揃えで買った食器などもあるのだが、長年使っているうちに破損したりして不揃いになっていた。優哉が毎日のように料理をしてくれるし、それに見合ったものが欲しい。  二人で暮らすことになり、色々と欲が出てきたみたいだ。それに新しい生活を始めることにドキドキとしている。ここ何年も代わり映えのない生活をしていたから、優哉の存在がとても刺激になっているのかもしれない。 「朝ご飯はどうする?」 「そうですね。昼までそんなに時間があるわけじゃないし」  ちらりと時計に視線を向けた優哉は少し考え込むように目を伏せた。時計は九時を示している。しっかり食べるには少し中途半端な時間だから、軽く腹に入れるくらいがいいのかもしれない。 「このあいだ焼いてくれたパウンドケーキがまだ残ってるぞ。食べるか?」 「そうですね。そうします」 「じゃあ、顔を洗って着替えてこいよ。珈琲落として準備しておく」  洗面所に優哉を送り出して、僕はキッチンカウンターに置いてあるコーヒーメーカーに挽いた粉をセットした。そしてキッチンでドライフルーツがたっぷり入ったパウンドケーキを一センチ幅に切り分けていく。ずっしりとしたそれは見るからに美味しそうで、薄く自分用にカットして一切れつまんでしまった。ホイップクリームがあればなお美味しいのだが、いまは時間もないので我慢しよう。 「あ、なんか切ってると食べちゃうな」  二切れ、三切れとつまんでいる自分に気がつき、慌てて必要な分を寄せると残りをフードケースに入れて片付けた。最近の優哉は主食の料理以外にお菓子も作るようになったのだが、これがまた美味しいのだ。祖母の美里さんがお菓子作りが趣味だったようで、それに習って色んな種類のお菓子を作れるようになったらしい。甘いものが好きな僕としては嬉しい限りだ。 「佐樹さん今日は早く起きたの?」

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