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第1082話 始まり 12-2
休みとかはちゃんともらえるのだろうか。少し優哉に負担がかかり過ぎているような気がするのだが。けれど優哉はやりがいを感じてやっているみたいだし、余計なことは言えない気もした。それに頑張っているのなら応援もしてやりたい。
「ありがとう佐樹さん。でも大丈夫ですよ」
「うん、お前が大丈夫って言うなら、信じるよ」
まっすぐに僕を見て笑う優哉の顔を見たら、頑張れって言葉しか浮かばない。彼にとっては新しいスタートだし、その分だけ気合いも入っているのだろう。夜遅くまで大変そうだけれど、辛そうにはしていない。むしろやる気に満ちているくらいだ。
「無理し過ぎず頑張ってくれ」
「はい、気をつけますね」
顔を見合わせながら笑っていると、ちょうどエレベーターが目的の階に到着した。扉が開いた向こうへ足を踏み出せば、柔らかな照明に照らされた空間が広がる。休日だからか店内は思ったよりも人が多いようだ。それでもフロアは広いので窮屈さはなく、ゆっくり見て回れそうだ。
「いまのベッドはセミダブルでしたっけ」
「ああ、でも買ってからだいぶ経つし買い替えたい。そのベッドは廃棄かリサイクルかな。うーん、二人で寝るなら広いほうがいいし、買うとしたらダブルかクィーンサイズかな」
狭いベッドで二人くっついて眠るのもそれはそれでいいのだが、お互いの時間のずれも出てくると睡眠の妨げになると困る。そのためいまはお互い仕事の日にはベッドと布団に分かれて寝ていた。これから先、毎日となるとやはり広いベッドのほうがいいだろう。
「けどベッドの搬入とか考えると、セミダブルを二つ並べるのでもいい気はするんだけど。どっちがいいかな?」
「うーん、そうですね。広いベッドもいいですが、俺たちは時間が少しずれているしベッドは別々でもいいような気もします」
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