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第1088話 始まり 13-4

 些細なことだけど大切なことだ。二人で選んで揃えて、それが積み重なると思い出に変わっていく。僕たちはこれからそんな思い出をたくさん作っていくのだから、二人の気持ちが寄り添い合うことはとても重要だと思う。だからどちらかに片寄ることなく、いつでも対等でいられる関係でありたい。 「食器は五日くらいで届くみたいです」  店員とカタログで商品を確認していた優哉は、五分もしないうちに伝票を手に戻ってきた。選んだ食器はどれも在庫があったようだ。手渡された伝票には予定日が書かれている。届くのは平日だから、夜の受け取り指定をしておいてくれたみたいだ。受領証でもある大事な伝票は、失くさないように財布の中にしまっておいた。 「思ったよりも早く終わったな」  買い物を済ませた僕たちは、目的を果たしたので店を出ることにした。雑貨店にいたのは実質三十分くらいだろうか。腕時計に視線を落とすとまだ十五時半を過ぎたところだった。せっかく外に出かけたのだから、このまま帰るのはもったいない気もする。天気もいいしこのままぶらりと歩いてもいいかもしれないな。 「近くの公園まで歩くか」  道の途中にベンチや芝生で寛げそうな大きな公園があった。近くにコーヒーショップもあったから、のんびり時間を潰すのもありだ。 「あ、佐樹さん」 「ん?」  思い立って大きく足を踏み出したら、後ろから伸びてきた優哉の手に引き留められた。その手に驚いて振り返ると、目の前に立った優哉が僕をじっと見つめる。 「あの、寄りたい場所があるんですけど、いいですか」 「もちろん、これから時間もあるし優哉の行きたいところへ行こう」  どこか緊張した面持ちでこちらを見る優哉の手を握り返して、先を促すようにその手を引いた。すると彼は表情を和らげ至極嬉しそうな笑みを浮かべる。一体どこへ連れて行ってくれるのだろう。想像してみたけれど行き先の見当はつかなくて、僕は期待に胸を膨らませた。

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