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第8話

* 小さな物音が聞こえて、ふと目が覚める。 寝ながら首を横に向けると、開かれたドアの前に先生が立っていた。 「ごめん。起こしちゃったな」 「いえ‥‥‥あの」 ここは俺の部屋だった。 車の中からどうやってここまで来れたのか不思議に思うと、それを察した先生が少しバツが悪そうな顔をした。 「ずいぶんぐっすり寝てたから......鞄から勝手に鍵出してごめんな」 「いえそれは‥‥‥えと‥‥‥あの、まさか、先生がここまで運んで‥‥‥?」 「ん?ああ、それはそうだけど」 「‥‥‥っ!すみませっ‥‥‥俺、重‥‥‥っ」 なんてことだろう。自分は悠々と寝て、先生にそんな負担をかけてしまうなんて。 起き上がって必死に謝る俺をなだめるために、先生が側まで寄ってくる。頭に手を置かれ、くしゃくしゃと撫でられた。 「全然重くなかったから、大丈夫。ていうか、心配になるくらい軽かった。ちゃんと食べてるのか?」 「そ、れは‥‥‥」 毎日コンビニのお弁当やパンばっかりで、食べない日も多々ある。けど良くないことだって自覚はあるから、はっきり言えなかった。 黙る俺に、先生は尚も頭を撫でながら顔を覗き込んでくる。 「今は食欲あるか?お粥作ったけど、もし無理そうならゼリーもあるよ」 「え、と‥‥‥」 正直、食欲はなかった。 けど、こんなときに誰かがそばに居てくれたことなんてないし、ましてや料理を作ってくれたことなんかあるはずない。 だから、せっかくのお粥を無駄にしてしまうのは嫌で、無理してでも食べたい。 「お粥‥‥‥食べたいです」

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