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第123話
「ん……」
抵抗したとは言え、本当は嫌ではなくて。正直な身体は、与えられた快感を素直に受け入れた。
昨日知ったばかりの、先生とのキス。
チュと吸い付いては離れ、また重なる唇。
何度も繰り返すのに、飽きることなんかなくて、ずっとしていたいと思うのは、俺がはしたないからなのだろうか。
「……んっ」
絡まり合う指から感じる先生の体温。
唇を落とされるたびにピクッとしてしまう俺の指を、先生が握り返してくれると、すごく幸せになる。
「……心……」
「はぁ……ん……ん」
「心……かわい……」
反対の手で耳を触られると、とろとろになるくらい気持ち良くて、俺の理性は徐々に壊れていく。
けれど、俺はそのことに気付かないほど、先生から与えられるキスに夢中だった。
「……ん……ふぁ」
「心……」
「せんせ……んぅ……」
何度も角度を変えて、愛情をたっぷりもらう。それはこれ以上ないほど幸せなことなのに、欲張りな俺はこの先を求めてしまう。
この先、というのは具体的には分からなくて。
でももっと欲しくて。
(なんか……なんだろ……俺、お腹空いてるのかな……)
舐めたい。
なんて変なことが頭によぎる。先生の唇は柔らかくて気持ち良いから、もっと触れたいって思ってしまった。
もっともっと、先生の近くにいきたい。
(い、良いかな……)
冷静に考えるとキスの最中に……最中でなくても、人の唇を舐めるなんて、おかしいことこの上ない。いつもの俺だったら全力で止めると思う。
けれど、すでに頭が働かない俺に、そんな正常な判断が出来るわけもなく。
(舐め、たい……)
俺は欲に抗えず、ドキドキと心臓を高鳴らせながら、ペロと先生の唇に舌を這わせた。
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