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第124話
(あ……なんかこれ、癖になりそう……)
舌で感じる唇は柔らかく、味なんかしないのに、なぜか美味しい。
(もっと……)
「ん……」
「……っ」
呑気なことを考えつつ、もう一度ペロっと舐めた俺に対して、先生は一瞬ピクッとしてから固まってしまった。
(……?)
しばらく経っても、先生は面を食らったような顔で固まったままだった。そんな先生の様子に、俺は徐々に正常な思考を取り戻していく。
(……ぁ……俺、何やって……っ)
自分がどれほど恥ずかしくはしたない行動をしたか。今さら自覚し、サアッと血の気が引いた。
俺は慌てて舌を引っ込め、今の不埒な行動を謝罪をすべく口を開く。
「ご、ごめんなさ──んっ!?」
瞬間、ニュルリと口内へと入ってきた柔らかく生温かい感触。俺は驚愕のあまり目を見開いた。
(ふぇっ!?何これっ……!)
反射的に逃げようとしたけど、後ろは背もたれがあって、俺はそのまま、先生の舌で口の中を探られ続けた。
胸がドクドク脈打って、大きく開けていたはずの目も、徐々に細まっていき、瞳には涙がにじむ。
「んっ……んぁ」
(息、出来ないっ)
今までは短いキスを何度もする感じで、離れた際に息を吸っていた。でもこれは、ずっと唇が重なり合っているから、息をする間がない。
「んぅっ……ぁ、んっ……」
舌が絡め取られ、軽く吸われるとゾクゾクして。その度に、クチュ、と音がなるのが恥ずかしい。
俺は酸欠になりながら、ただただされるがままになっていた。次第に頭はトロトロに溶けて、目に溜まった涙は頬へと流れ落ちる。
(気持ち、いい……)
先生の舌が自分の中に入っているなんて。そう思うだけで、ものすごい快感が押し寄せる。
「んっ!」
突然舌の裏をなぞられて、さらに快感が高まり、腰がピクリと跳ねた。そのタイミングで、先生の舌が外へ。
「ふぁっ……」
やっと離れたと思えば、その綺麗な唇は俺の耳元へ移動し、甘く熱い吐息が耳を掠めた。
「舌の裏……弱いんだ?」
「ふぇっ!?」
(なっ、ななっ……)
あまりにも色っぽい声にゾクゾクして、俺は顔をこれでもかというほど真っ赤に染める。
(待って……これ以上ドキドキさせられたら、死んじゃうよっ……)
そんな願いは虚しく、俺はソファに押し倒された。
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