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第125話

ソファに倒れた俺の上に覆いかぶさった先生が、大人な瞳で俺を見下ろす。 「……っ」 バクバクと脈打つ心臓が、限界を訴えている。もうキュンどころじゃない。ギギュウッと胸が痛くなって、極度の緊張で喉が締め付けられた。 もうこれ以上は勘弁して欲しいのに、先生はものすごく色っぽい顔でスゥと目を細め、極め付きの甘い言葉を囁いた。 「可愛い」 「か、わっ……」 (そんな貴方のほうがカッコいいです……!) なんて言い返す間も無く、再び唇を重ねられられてしまう。開きっぱなしだった口の中に、当然のごとく生温かい舌が侵入してきた。 「は……んっ、んぅっ」 キスだけでも──ましてや舌を使うキスだなんて、蕩けに蕩けちゃうのに、先生はそれだけで終わりにしてくれない。 「んぁっ……ん」 耳を触られるとゾクゾクって震えて、先ほどバレてしまった舌の裏をなぞられると腰にムズムズとした違和感が走る。 何秒も塞がれ続けて、とうとう息が苦しくなる。もうすぐ意識が遠のきそうで、俺は力の入らない手でなんとか先生の胸を叩いた。 「……?」 口を離した先生が、首を傾げる。口端にはどちらのか分からない唾液が光っていて、それがいっそう生々しさを際立たせる。 「心……?」 一旦離れてくれたとはいえ、先生の瞳の奥には未だ熱がこもっていて、少しでもグズグズしようものなら、すぐに食べられてしまいそうだった。 俺は震える口をパクパクと開き、なんとか声を絞り出した。 「いきっ、……」 「ん……?」 「でき、なっ……」 「あぁ……」 納得したように微笑んだ先生が、息絶え絶えの俺の鼻の先をチョンとつついた。 「鼻でするんだよ」 「鼻、で……?」 「そ。……やってみて?」 「んぅっ」 下唇を甘噛みされ、そこから深いキスが再開される。 「んぁっ……んんっ」 言われた通り鼻で息をしようとするけど、先生に自分の鼻息がかかってしまうのが恥ずかしくて控えめになってしまう。けれど、徐々にそんな余裕はなくなるほどに、俺は快感でトロトロになっていた。 気持ち良いけど、恥ずかしい。恥ずかしいのに、気持ち良い。 心臓をバクバクとうるさいほど鳴らしながらも、俺は快感を追いかけるように、今まで受け身だった舌をちょっとだけ突き出した。 「んっ」 するとチュッと吸い付かれ、それが癖になって、もう一回。あと一回、もう一回が、何度も続く。そのうち心の中で言い訳するのも忘れて、俺はその行為に夢中になった。 そうしているうちに、腹部にちょっとした違和感が。 「ん……んっ!?」 (え、せんせっ……!?) 気付けばもう先生の手がベストの中に入り込んだ後で、スラックスの内側に入れていたワイシャツを外へ取り出した。それによって出来た入り口から入り込んだ冷たい温度が、俺の地肌をスルリと撫でる。 「……ぁんっ……んんっ」 (なにっ……なにが起こって……っ) 普段覆われている部分から感じる手の感触にパニックになる。けれどそんな俺のことはお構いなしに、手は脇腹を撫で、おへそ周りを撫で、そして次第に上の方へと上がっていく。 「んぁっ……っ、ん」 (ま、待って……!) 俺の願いは虚しく、ついに先生の綺麗な指が胸の飾りに触れたとき── 「んあっ」 自分でも信じられないくらいの甘い声が出た。

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