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第134話
「二人とも早いね~」
綺麗な亜麻色の髪を揺らして助手席から降りてきたのは、今日も美人な御坂さん。その美貌は、何度見ていても思わず見惚れてしまうほど。
「おはようございます、御坂さん。今日はありがとうございます」
先生が軽くお辞儀をしたので、俺も慌てて頭を下げる。そんな俺たちに、御坂さんは「ふふ」と笑みを漏らした。
「いえいえ。こちらこそ急なお誘いだったのに、来て頂いてありがとうございます。高谷さんが来てくれるって知ったときの心くん、とっても大喜びで、すごく可愛かったんですよ」
「み、御坂さんっ」
御坂さんの言葉に、俺は顔を真っ赤に染めた。
(だって……思い出しちゃう……)
あの日、俺はバイト先だけでなく、先生の前でもはしゃいでしまって……あんなえっちなことをしてしまった。あの日の先生は、今思い出しただけでドキドキしてしまうほどに、色っぽくてカッコよくて、まさに大人の男の人って感じだった。
チラッと先生を見ると、先生はふわりと微笑んだ。俺は恥ずかしくて、思わず目を逸らした。すると御坂さんも俺を微笑ましそうに見ていて、さらに恥ずかしくなった俺はキュッと縮こまる。
(うぅ……恥ずかしぃ……)
顔を赤くしながら俯いていると、車の反対側から残りの二人が降りてくる音が聞こえた。残りの二人というのは、尾上さんと尾上さんの知り合いさん。
「もー!兄ちゃんの運転マジ怖い!」
「シートベルトしてるんだから大丈夫だろ」
「そーいう問題じゃないから!」
「まあ次は後輩が運転するから」
「だからそういう問題じゃないんだってば!」
「え……」
尾上さんと言い合いをする声に、俺は驚いた。その明るく元気な声には聞き覚えがあったから。
バッと先生を見上げれば、先生は引きつった顔をしていた。それはそうだ。俺たちの関係は秘密にしようって、一緒に住むときに先生と決めた。だから彼には言っていない。
明るい茶髪の男の子。いつもお世話になってて、仲良くしてもらってる、俺の大事なお友達。
「えっ!望月!?」
驚くときだって元気いっぱい。
山田君だった。
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