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4-休日遭遇百貨店猥褻行為

「わお、センセェだー」 「マジだ、すげぇ偶然」 一ノ宮は凍りついた。 祝日で程よく混み合う真っ昼間のファッションビル。 まさかシロクロ双子と遭遇するとは夢にも思っていなかったクールビューティー准教授は一瞬にしていや~な汗を背中にかいた。 「シロクロー! ひさびさー!」 一ノ宮は娘と共にいた。 シロクロ双子と付き合いのあったおばかちゃん娘は笑顔で二人に駆け寄る。 「なんで最近会ってくんないの?」 「それはね、レポートで忙しいからだよーん」 「毎日バイトだしな」 レポートは毎回締め切り当日に驚異の集中力で仕上げて提出、バイトなど一回もしたことがない二人は平然と一ノ宮の娘に嘘をついてから。 意味深に一ノ宮をニヤニヤじろじろ。 あからさまに強張っていた一ノ宮はさっと顔を反らす。 なんだか嫌な予感がする……。 三十分後、嫌な予感は的中、した。 「あ、センセェ見っけ♪」 「やっぱ本屋にいたか」 最上階にあるだだっ広い書店の奥の奥、従業員が出入りする通用口のすぐそばで顔を隠すようにして雑誌を立ち読みしていた一ノ宮はシロクロ双子に簡単に捕獲されてしまった。 銀縁眼鏡が嫌味なくらい似合う彼の腕をそれぞれ両脇から捕らえたシロクロ双子。 女性用レストルームよりも数の少ない、隅っこに位置する男性用トイレへ強制連行した。 「いやだ……っやめ……んむ!?」 大学トイレよりもゆとりある個室。 背後に立つ笑顔のクロに掌で口を塞がれて目を見張らせる一ノ宮に、正面に立つシロは板についたサディスティックな笑みを。 「ふーん、センセェ、休日はそんな感じなわけか」 ノーネクタイ、コットンジャケットに襟シャツ、うっすらストライプ柄のスリムなスラックス、茶色のリーガル。 大学ではきちんとセットされている髪が今は手つかず感あり、でも決してボサボサではない、それなりにさり気なく整えられている。 大学にいる時よりもちょっと隙のある感じだ。 「ガキと仲良くお買い物、家族サービスってやつかよ」 「ん~〜っ!」 「……俺達にもサービスしろよ、センセェ」 シロは眉根を寄せる一ノ宮の口元を覆うクロの手の甲に唇を寄せた。 まるで掌越しにキスするように。 「いつもたっぷりイかせてやってんだろ……? なぁ……?」 シロがいつもと少し違うことに一ノ宮は気がついた。 人を完全小ばかにした表情を始終浮かべているような彼だが、今はなんだか、どこか寂しげな翳りを含んでいた。 「……妬けるよ、一ノ宮先生?」 まさかのシロからのヤキモチ発言に。 まだ愛撫もされていない段階で一ノ宮の下半身は目覚ましい火照りを帯びた。 ……な、なんだこれは。 彼の言葉と表情だけで、こんな、そんな、馬鹿な……。 「一緒にどっかで食事してきたとか……? 俺達とは一回だって飯も食ってないよな」 「……んんっ」 「そういえばセンセェの好きなモン、嫌いなモン、知らねー……体以外、特に、なーんも……」 「んむむっ」 「なぁ、ただいまとか、おはよーとか、言ってんの……? いってらっしゃいとか、おかえりとか、普通にさ」 「ん……っぅ……ん」 感じてしまう、どうしようもなく、痛いくらい、感じてしまう。 切なそうに自分を睨みつけてくる彼の眼差しだけでこんなにも……はしたなく、硬く、火照ってしまった。 早く、早く、触ってほしい。 お願いだからその手で私を、私よりも硬く逞しいその剛直で貪欲なこの身の奥まで滅茶苦茶に―― ばぁん!!

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