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「シロは二階の浴室にいるよ」 二階の浴室は廊下を挟んで子供部屋と対角線上の角にあった。 大きい曇りガラスの窓が壁にはめこまれ、天気のいい日ならば日当たりが抜群だろう空の浴槽に、シロはいた。 コンバースを履いたまま真っ白な底で窮屈そうに足を組んで一ノ宮のことを待っていた。 「鬼さん、遅ぇ」 「クロ君はもう見つけた、本来のルールならクロ君が鬼になって君を見つける番なんだが」 「どーせ兄さんにココって教えてもらったんだろ」 一ノ宮は少し驚いた。 「君がお兄さんじゃなかったのか、てっきり……クロ君の方が弟さんなのかと」 「違ぇ。先に生まれたのがクロ、俺は後。でもその定義は最近になって生まれたモンだから。昔は逆だった。俺が兄、アイツが弟。それもそれで間違いじゃねぇよ」 空の浴槽に浸かっていたシロは一ノ宮の手をとって自分の真上へ招き寄せた。 「ここでかくれんぼする時は大体、な。同じトコに隠れる癖がついてた。あいつはバラバラで見つけんのに苦労したけど」 嫌味なくらい銀縁眼鏡が似合う冴え冴えとした顔をじっと覗き込み、レンズ奥の双眸が微かに揺らいでいることに、また小さく笑う。 「センセェ、させろよ」 「……君達はどうして私をここへ連れてきたんだ」 「さぁ。なんでかな。自分でもよくわかんねぇ」 「……」 「でもセンセェに来てほしかった。ここを知ってほしかった」 俺らのことをもっと知ってほしかった。 「俺もセンセェのこともっと知りたい」 服を捲り上げて冷気に触れた肌を舐め上げ、胸の突起を吸い、甘噛みする。 快楽に弱く刺激に忠実な勝手知ったる体に速やかに発情を呼び覚ます。 「乗れよ、センセェ」 「あ、だめ……こわい……」 「これだけ場数踏ませてやってんのに。弱虫だな」 「あ……!」 乾いた浴室に響く甘く色づく声音。 狭い浴槽で陶然と身悶える一ノ宮を見つめながらシロは深く深く突き上げる。 滾ったペニスを肉奥で冷ますどころかより狂的に発熱させていく。 「あ、ん……っはぁっ……あンッ」 「腰振れよ」 「ぃ、や……こわい……むり……」 「……センセェ、それ、甘えてんの?」 「……動いて……?」 「……ずるいな、淫乱センセェ」 尻丘をぐっと掴まれて最奥を思いきり貫かれた。 シロのペニスから滴った先走りで肉底が湿り出し、肥大した亀頭が上下に動く度に卑猥に鳴らされる。 冷ややかだった虚空があられもない交わりに熱せられていく。 「ああッ……深、ぃ……ッ……あッ……あッ……あッ……あッ」 胸の突起に纏わりついてきた舌先。 唾液をふんだんに塗りつけられ、同時に独りでに反り返っていたペニスを激しく愛撫された。 一ノ宮はシロにしがみついた。 クロと同じ色の髪に片頬を擦りつけ、服越しにその肌に爪先を食い込ませ、色鮮やかな唇を弛緩させて喘いだ。 ……家に帰らないと……。

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