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そこは大きな寝台が一つだけ置かれた主寝室だった。
他の部屋と同様に白い布張りがされた寝台の上。
火照った吐息が延々と交差していた。
「センセェ……奥まで俺のでヌルヌルしてるね……あったかくて最高ぉ……」
膝立ちになった一ノ宮の両腕を馬の手綱を引くように背後に引っ張り、しっかり奥まで届くよう大きく腰を振ってペニスを抜き挿しするクロ。
「ココもすげーヌルヌルだな……なぁ、淫乱センセェ?」
一ノ宮の真正面に位置したシロ、達しても尚張り詰めたままの肉棒を肉棒に擦り当て、際どい摩擦を愉しみつつ、両乳首を食んだり摘まんだりと性感帯への奉仕を怠らない。
着ていた服は床に脱ぎ捨て、裸身となって、帰るべき家がある男を自分たちの狭間に延々と繋ぎ止める。
色褪せながらも枯れ果てない思い出の住処に引き留めようとする。
「俺らで満腹になってね、センセ」
シロクロ双子の狭間で裸にされて扇情的に揺らめく一ノ宮はその交わりに溺れながらも思う。
どうして双子は私をここへ連れてきたのか。
彼等自身もきちんと理解していないようだが。
だけれども。
何かが。
「腹いっぱいになれよな……?」
この錆びついた空間を伝って二人から私に注ぎ込まれる何か。
時にシロ君から感じていた違和感、クロ君から感じていた異常な傲慢ぶり。
この別荘の何もかもを覆い尽くす真っ白なカバーの裏にその理由が息を潜めて隠れているような。
本当はそれを私に見つけてほしかった……?
「……ン」
双子にキスされて一ノ宮の思考は溶けていく。
……私の家に帰らなければ……。
そんな現実も、共に、限られた時間だけ。
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