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パラレル番外編-2

そこは双子が棲む住処。 コンクリートうちっぱなしの部屋。 高い天井にはやや傾斜のある天窓。 開閉自由なカーテンが今は端に畳まれて照明のない部屋に降り注ぐ月明かり。 その真下に位置するキングベッドの上で。 哀れ、一ノ宮は吸血双子の餌食に。 薄闇に全身の素肌を曝した彼の、一際柔らかな首筋に突き立てられるは、クロの牙。 そして萎えるどころか屹立しきったペニスに這うは、シロの舌。 「んー……予想通り、センセェの血……おいしー」 「美人はたいていウマイからな」 「あ……っやめっ、やめてくれ……っ」 「ん、でも激ウマかも、これ……やっば、止まんないよー、どうしよ」 「おい、飲み過ぎたら干乾びるだろーが、加減しやがれ、クロ」 片割れに念を押して、シロは、薔薇色に艶めくペニスをべろりと舐め上げた。 「っ、っ、ぁっ」 首筋に深々と突き立てられた牙がもたらす痛みに貫かれながらもシロの舌に感じてしまう。 生死の危機に直面して本能が刺激され、この地に種を残そうと、最初は勝手に滾っていた性器。 それが今はシロに舐め回され、びっしょり淫らに濡らされて、体が素直に快楽を享受してしまっている。 まるで腹を空かせた獣さながらに勢いよく咥え込まれ、吸われると、バネ仕掛けの人形じみた反応よろしく跳ね上がった一ノ宮の腰。 そのまま空中で捕らわれて、またさらに吸われた。 「やめ……っ……そんな強いの、っ、あ……ん」 「センセ、かわいーね……ん」 ぐちゅっ 「ひ…………!」 クロの牙がさらに一ノ宮の首筋に埋まった。 かつてない芳醇なる味わいに夢中になり、悶絶する一ノ宮を背後から抱きしめ、クロは貪欲に血を求める。 不慣れな激痛に涙する一ノ宮を上目遣いにちらりと確認したシロは、柔らかな口内に彼のペニスをより招き入れ、喉奥できゅっと締めつけては、ねっとり濡れそぼつ先端を器用すぎる舌先で優しく愛撫する。 痛みと快楽の狭間に突き落とされた一ノ宮は腰をびくつかせて喘ぐしかない。 達するしか、なかった。 「っ、もう……だめだ……でちゃ……っああああ……っっっ……!!」 「交代しろ、クロ」 「んー、りょーかい、シロ」 「も……もうやめてくれ、お願いだ、頼むから、っ、いやだ……っ、離してくれ、っ、あ、あっ、あーーー……っ!!」 一ノ宮の首筋に再び食い込む吸血鬼の罪咎(ざいきゅう)なる性。 また激痛に苛まれるのかと、一ノ宮は慄然となって身を硬くした、のだが。 痛いのは牙が肌に埋まった最初だけ。 クロと違い、シロによる吸血鬼のキスが齎すものは痛みではなく、媚薬じみた甘い恍惚感。 な、んだ、これは。 さっきとまるで違う。 まるで痛みが麻酔で緩和されて、代わりに、制御不能な欲望に理性を惑わされていくような……。 「センセェ、シロの唾液ってね、痛みを和らげて、しかもね」 「興奮剤成分、含む、なわけだ」 「な、んだ、それは……」 シロに少しずつ血を奪われながら。 射精して精液に塗れるペニスを二人の掌に同時に囚われて、正に、弄ばれて。 恐怖も心細さも。 傷口から直にシロに注ぎ込まれる甘い毒によって歪んだ快楽へと変わる。 「ん……あぅ……っんく……っあ……」 「ん……こんなに興奮するの、俺、初めて……ね、センセェも触って……? 握って? 俺のことよくして?」 「俺も、ほら……な……?」 一ノ宮と同じく裸になったシロクロ双子。 繊細な五指持つ一ノ宮の手をそれぞれとり、熱く勃ち上がったペニスへ導くなり、恥ずかしげもなく自身の昂ぶりを掌に擦りつけた。 両手に二人の発熱を感じ取った一ノ宮は否応なしに下半身を疼かせる。 音を立てて塗りつけられる先走りの温みに思わず喉を鳴らし、半開きの瞼を扇情的に痙攣させる。 発熱したように、体中が……快楽に魘されている。 甘い毒に全身が浸食されていく。 私が、私でなくなるような、喪失感。 別のものに生まれ変わるような覚醒の気配。

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