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パラレル番外編-3

双子が一ノ宮の元へ戻ってきたのは夜が深みを帯びた頃のことだった。 「おかえり」とも声をかけずに火のない暖炉の前で項垂れていた魔女の血筋。 代わりに彼は「すまない」と呟いた。 「うん、びっくりしたよ、センセェ」 「だな、クロ」 「だって、さ。弟だったアイツがおじいちゃんになってんだもん、しわくちゃの」 「ホントのおじいちゃんの隣には墓が二つ増えてっし」 「お花、ぜんっぜん足りなかったね」 真実を知って驚きの余り一度手放した花を掻き集め、それぞれの墓へ手向けてきた二人。 そう。 シロクロ双子はある日を境に外見の成長が止まっていた。 それどころか。 魔女の血筋がつくったお菓子を食べたあの日から。 呪いに等しい魔女の加護をその身に授かっていた。 「シロが治ったの、あれ、やっぱり魔法だったんだね、センセェ」 クロの言葉に一ノ宮は首を左右に振り、両手で顔を覆い尽くした。 「クロ君、シロ君、魔法なんかじゃない、ここにあるのは呪いだけ。君達はもう人として……死ねなくなった……私の血がまざったお菓子を口にして……私と同じ……永遠を歩かされることに……」 ーー傲慢な私を許せとは言わない。 「君達と出会わなければよかった」 君達と出会って独りに戻ることが怖くなった。 天命を全うするはずだったシロ君をこの世界に繋ぎ止め、クロ君も道連れにしてしまった。 君達を求めてしまった。 「センセェ」 「泣くなよ」 泣いていた一ノ宮をシロクロ双子は抱きしめた。 「俺を助けてくれてありがとな、センセェ」 「あのお菓子。すっごいおいしかったの、覚えてる」 「センセェの味だったんだな、あれ」 「センセェ、またはんぶんこ、させて?」 自分達に微笑みかけながらも本当はずっと罪悪感に打ちのめされていた一ノ宮が愛しくて愛しくて。 双子も一ノ宮を求めた。 火のない冷えた暖炉の前で肌の熱に溺れ合った。 「シロくん……」 「センセェ……まさか初めて?」 「……君達に会うまで私はずっと独りだった」 「じゃあ初夜なんだ?」 「ッ……クロくん、そういう言い方は……あ……ッ」 永く守られてきた一ノ宮の純潔を奪ったのはシロだった。 痛いくらいはち切れんばかりに膨れきったペニスを、クロと共に満遍なく濡らした後孔に力任せに捻じ込んだ。 「ン……ッッッ」 「ん、俺も……センセェが初めて……アンタに捧げてやるよ、俺の純潔……ッ」 初めての交わりに狂的に滾った肉杭で本能のまま一ノ宮を激しく突き上げる。 深く捩れた絨毯の上で甘い悲鳴を迸らせる想い人に心底見惚れながら。 「センセェの、ナカッ……すげ、ぇ……ッよすぎて、死にそ……ッ……死なない体なのにな……」 「ッ……シロく……ごめ……」 「……違ぇよ、センセェ……そんな顔すんなよ……好きだから……」 ずっと涙している一ノ宮の最奥でシロは一思いに達した。 何回も、何回も。 知らず知らず長い年月をかけて恋していた彼に我を忘れてのめり込んだ。 「失神したの、シロ」 立て続く絶頂に虚脱し、一ノ宮の真上で動かなくなったシロの頭をクロはぽんぽん撫でた。 ぽんぽん撫でていたかと思えば割と無造作な手つきで片割れをヨイショと横に退かす。 ずる……ぅり、半勃ちのペニスが引き摺り抜かれて白濁を滴らせる後孔に。 熱が溜まるに溜まった暴発寸前の肉杭を突き立てていく。 シロの猛攻に同じく気を失いかけていた一ノ宮は新たな侵入にビクリと裸身を震わせた。 ずれていた眼鏡越し、笑うクロを見つけて、心臓の裏側をゾクリと波打たせた。 「クロ、く、ん」 「センセェ。俺の純潔も受け取って?」 片割れの残滓で熱く潤う肉壺にペニスがじっとり温められる。 独りでに腰が揺れてヒクつく尻奥を突き上げる。 「あったかーーーい……きもちい……天国みたい……」 「ン……っクロくんの……お腹の奥で、もっと硬くなって……」 「ねぇ、センセェ……こんなにも幸せな呪いってあるんだね……? 天国みたいな一日がずっとずっと続くんだもん……俺とシロと、センセェと……三人きりで……」 「……クロくん……」 「ん……ッ……はぁ……ッ……センセェ……健やかじゃなくても、病まなくても……死に別たれなくても……さ」 魔女のあなたを愛してるよ。

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