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その夜。 新しい調理器具で料理し、新しい食器に並べて食べ、新しいカップで食後のコーヒーを嗜んだ。 「ほら、お揃い」 後片付けを終えてお風呂を済ませた双子が身に纏う新しいパジャマに一ノ宮は呆れた。 「一体、いつの間に用意したんだ」 「お土産屋でザ・衝動買い」 「一番、似てるの選んだ。何か特製だとかで高かったけどな」 黒いパジャマ姿の双子に呆れ返り、一ノ宮も、二階の浴室でお風呂に入った。 入浴を終えて戻ってみれば。 一ノ宮よりも早起きして睡眠時間が少なかったシロクロはソファで折り重なって眠っていた。 二人によってボストンバッグに詰め込まれていた黒いパジャマを着た一ノ宮は床に跪き、重なり合う双子を間近にし、そっと笑う。 結城クロ君、結城シロ君。 眠りについてもお揃い、同じ夢を見ているのだろうか。 「おやすみ、いい夢を」 夜明け前だった。 主寝室とは別のこぢんまりした寝室で就寝させてもらっていた一ノ宮はふと目が覚め、両隣にいつの間に潜り込んで寝ていた双子に目を見張らせた。 クマのヌイグルミを抱いて熟睡しているシロの頭をそっと撫でていたら。 「センセェ、だっこ、して」 掠れた声でそう言いながらクロは一ノ宮を背中から抱きしめて眠たげに笑った。 「俺がだっこしてあげたから。センセェはキスして」 「そんな身勝手な」 「睡眠薬代わりのキス、ちょーだい」 一ノ宮は小さくため息をついた。 もぞりと両腕の輪の中で寝返りを打つと、ぎゅっと目を閉じ、クロの額に不出来なキスを落とした。 「ほら、君の言う通りにしたぞ。早く寝なさい」 冷たい部屋で毛布一枚と双子の温もりに包まれて一ノ宮は思う。 二泊してもいいかもしれない、な。 双子と共に眠りに落ちる寸前まで彼らを甘やかしてしまう准教授なのだった。

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