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パラレル番外編-all高校生

その日、男女共学のプロテスタント系ミッションスクールに二人の転校生がやってきた。 「そっくり!」 「どこで見分ければいーの?」 二人は双子だった。 それぞれ違うクラスに振り分けられたが、休み時間、片方が片方の教室にやってきたことで同級生達は盛り上がって双子に群がった。 同じ色に髪を染め、同じピアスをし、同じ風にブレザーの制服を着崩れさせた一年生の二人。 「とっつきやすい方がクロの俺、とっつきにくい方がいつも仏頂面のシロ、コレ」 「ばかっぽい方がクロだ、コッチな」 「ちょ、もっかい説明して!」 「コッチがシロくんで、えっと、ソッチがクロくんだっけ?」 「違ぇよ、俺はシロだよ……なんつて★」 「うわぁ……シャッフルされたらどっちかわからなくなりそ」 イケメンの転校生双子は初日から学校の人気者になった。 双子は運命の人に出会う。 運命の人の名は一ノ宮。 三年生の上級生、怜悧な眼差し、端整な顔立ちに嫌味なくらい似合う銀縁眼鏡。 ストライプ柄のシャツは一番上までボタンを留め、ネクタイもきっちり締め、正に優等生然たる美人男子生徒。 昼休み、クラスメートに案内された古めかしい図書館の片隅で彼は本を読んでいた。 「え、あの人? 三年の一ノ宮先輩だけど……顔はイイけど性格最悪らしいよ」 「バレンタインデーにもらったチョコ、ゴミ箱に捨てたとか」 「告ってきたコ、手がガサガサしてるから嫌だって、フッたんだと」 自分のことを噂している下級生らに目もくれず、静かに読書に耽溺する一ノ宮だったが。 一人の教師が近づくと急にその表情は緊張感を帯びた……。 「A定食、お願いします」 「またA定? たまには違うものにしたら?」 「Aが好きなので」 「じゃあ特別にオマケ、人気のフライランチの余りの貝柱フライ一個、足してあげる」 「いいんですか? ありがとうございます、いただきます」 「ほら、立派に咲いた、みんな元気に育った」 「綺麗なバラですね」 「一輪、いるかい。彼女にあげるといい」 「彼女なんていませんから。それにもったいないです」 「一ノ宮君」 「……先生」 「鏡花や夢野に耽るのもいいが、たまには私のこともちゃんと見てくれないかな」 「……すみません、失礼します」 「まだ話は終わっていないよ、座りなさい」 「……、……」 「「せーんぱーい!!」」

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