57 / 66

パラレル番外編-4

放課後、図書館。 古い書物に閉ざされた奥の奥。 半世紀以上保たれてきた静寂に微かに紛れる小さな悲鳴。 「ん……っ……い、ゃ……んむ……っ」 制服越しに重なり合った三人の体。 特に密着した下半身。 絶え間なく紡がれる衣擦れの音。 一ノ宮は双子にキスされていた。 前にはシロ、後ろにはクロ、代わる代わる交互に唇を奪われていた。 『あいつに奪われちゃう前にツバつけとかないと』 『俺らのモノにしてやるよ、センパイ』 モノ呼ばわりされた。 いきなりキスされた。 初めてで苦しかった。 息ができなくなった。 それなのに、どうして、どうして。 出会って間もないこの二人の濡れた舌先にどうしようもなく発熱してしまうのだろう? 「んっ……」 執拗に捏ねられて鳴らされる唾液。 上唇も下唇もびっしょり濡れそぼつ。 シロに緩く食まれる舌尖。 同時にクロから首筋を舐め上げられる。 一ノ宮の体はゾクリと震えた。 「は……っぁ……ンっ……ッ」 片方の唇が遠ざかったかと思えば片方の唇がすぐに押しつけられる。 フロントはシロと擦れ合い、バックはクロと擦れ合い、不埒な摩擦は徐々に激しさを増していく。 あれだけ饒舌だったクロも。 過激なことを口走るシロも。 束の間、言葉を忘れて一ノ宮とのキスに夢中になった。 「っ……っ、ふ……ぅ……ん、ん、ンぅ……っ」 「……おいし、センパイの唇」 「ぜんっぜん足りね……ずっと食ってたい、コレ」 「や……め……息、できな……っ、ん、む……っ」 「あ……おめめ……とろとろじゃん……かわい……」 「んっんっんっ……んーーーっ……ぷはっ……ぁっ……は……」 しとどに濡れきった唇を力なく開閉させて一ノ宮は密やかに喘いだ。 クロの言う通り、銀縁眼鏡の下で涼しげな双眸はすっかり蕩けきっていた。 「……いくか、このまま」 「っ……え……?」 「制服、着たまま、さ。いっちゃおっか、センパイ……?」 否応なしに痛感させられていた、服の下で硬く育った双子のペニスが。 一ノ宮のフロントとバックに容赦なく擦り当てられた。 「えっ……やめ……っ……!」 「しー。声、おっきぃよ……? 人、来ちゃうよ……?」 「ぁ……っま、待って……ぁっ、そんな……押しつけられたら、っ……っ」 「センパイも勃ってんだろ……おら」 シロがより勢いをつけてフロント同士を擦り合わせてきた。 「ぁんっ」 「なにその声……かわいすぎ……食べちゃいたい、センパイ……」 「ぁっだめっ……だめだ……っあ……ぁ……ん……っ」 「うん、いっぱいだして、いっぱい汚しちゃお……?」 一ノ宮の尻の割れ目で制服ズボン越しにペニスをしごかせていたクロは、シロに再び深く深くキスされている一ノ宮の耳孔に悪戯な囁きを放り込んだ。 「俺、すっごい硬くなっちゃった……最近ヌいてなかったから、たっくさん、だしちゃうね……?」 本当に、すごく、硬い。 自分も、かつてないくらい、こんなに発熱して。 このままだと本当に……。 「ンッ……は……ぁ……んっんっ、ぅっ、ン、っぅ……っゃぁ……っやだ……っ」 「センパイ、いきそーだな……? ビクビクしてきた……んじゃ、もっと強めに……ッ」 「んやぁっ、っぁ、あん、ぁっ、いっちゃっ、あっ、んっむっ」 嬌声を抑えられない一ノ宮の唇が双子の口づけによって三度塞がれた。 卑猥な摩擦によってじわじわ迫りくる射精感。 どうしても何かに縋りつきたくて目の前にいたシロに一ノ宮はしがみついた。 ああ、もうだめだ、こんなの、もう、あ、あ、くる、くる、どうしよう、だめ、あ、あ、あ、あ、あ、あ…………。 「う……ッ」 射精寸前にまで上り詰めていた一ノ宮の目の前でシロが僅かに唸った。 隙間なく重なり合った股間、そこからびくびくと伝わってくる微痙攣。 先に射精したのだ。 「ん…………!!」 シロのイキ顔を目の当たりにした一ノ宮は全身をヒクつかせて後に続いた。 弾けた精液で下着を卑猥に一思いに濡らした。 「あ……っ俺もいくっ……センパイ……!」 耳孔に至近距離から投げ込まれたクロの上擦った呼び声に、一ノ宮は、まだ先端から浅ましく残滓を弾きながらビクリと仰け反った。 次の瞬間、首筋に刻みつけられた鈍い痛み。 「や……!」 シロクロ双子の狭間で蕩け落ちかけていた一ノ宮は、不意にクロに噛みつかれ、思いも寄らない刺激に虚脱した。 夕方、カラスがおうちに帰る時間帯。 「なー、変わってあげよっか、シロ」 「いい、俺が運ぶ」 「ちぇー」 「なぁ、クロ」 「んー」 「コレ、俺らの区別、すぐについたな」 「んだね、俺も思った、バラ見てた時ね」 「やべぇな」 「うん、やばい、ソレ欲しい、まじで」 シロの背中に背負われた一ノ宮は「コレ」「ソレ」呼ばわりされているというのに、どきどきが止まらずに、しばし狸寝入り……。

ともだちにシェアしよう!