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パラレル番外編-2

終礼が終わるとシロは即座に席を立ち、クロは「ばいばーい」とクラスメートに手を振って即座に教室を出た。 ダッシュで部活動に向かう生徒がちらほらいる階段で双子はばっちり顔を合わせた。 「今日もごはん行く?」 「だな。焼き肉か」 「連チャンきつくない? 俺はぜんっぜんヨユーだけどセンパイがねー」 「じゃあしゃぶしゃぶ」 放課後の予定を話しながらお目当ての教室に到着。 まだ終礼の真っ最中で、今、さすがに入室するのはマズイ。 ドアの小窓から二人はこぞって教室を覗き込み、お目当ての上級生を見つめて……。 「顔色悪ぃな」 「センパイ、様子おかしくない?」 二人は一ノ宮の異変に同時に気が付いた。 一ノ宮は終礼に五分遅れてやってきた。 チャペルで不穏な呼び声を背中に聞き、たどたどしい足取りで彼が教室の席に着くまでの、十分間。 その間に一ノ宮は――― 一ノ宮は終礼が終了したのにまるで気づかずにいた。 教室に入室するなり騒々しく話しかけてくるはずのシロクロ双子が、無言で傍らにやってきたことにも、気づくまでかなりの時間を要した。 笑い声が行き交う教室を背景にして自分をじっと見下ろすシロクロ双子。 一ノ宮は解れた前髪越し、銀縁眼鏡の下で、涼しげな双眸を過剰に痙攣させた。 「今日は……一人にしてくれないか」 眼鏡をかけ直す何気ない仕草の瞬間、袖口に覗いた手首、そこに色濃く刻まれた痕跡。 見張っていたつもりだったのに。 守っていたつもりだったのに。 悪夢の十分間、一ノ宮はあの教師にレイプされた。 「ッ……!」 机脇に置かれていた一ノ宮の携帯が振動を立てた。 目に見えて動揺した一ノ宮より先に携帯をとったのはクロで。 差出人不明のメール内容は「チャペルに来なさい」だった。 それを目にしたクロが無表情でぽつりと零した言葉は。 「ころしてやる」

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