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第26話
こんなところでイきたくない。こんな格好で、わけのわからないものを突っ込まれてイくなんていやだ。そんな僕の気持ちとは裏腹に、お腹の奥がきゅんきゅんと疼く。この感覚はよく知っていた。
「や、っあ、ゃ、あ、あっ、っーーー!!」
びくびくと体が痙攣し、頭からつま先までぎゅうっと力が入る。前でイくときよりもずっと強烈な刺激が並のように押し寄せてきて、その波が引くと力んでいた体が弛緩する。
はずなのに、快感の波は引かなかった。それどころか、ずっと痙攣が止まらない。
―――なにこれ
どうなってるの?
なんで止まらないの?
どうして?
「ひっ、やだ、や、だ、も、イきたくない……!や、ぁ、あっ、ーーーーっ!!っ、うぁ、や!」
―――助けて……!!
「嵐山ー?いる?」
―――あ…………しろがねくん……?
どれくらい時間が経ったか分からない。ぼんやりとする頭をなんとか働かせながら足元を見下ろすと、太腿も床もびちょびちょに濡れていた。前を触ってもいないのに、お尻に入れられたなにかのせいで何度も何度も果てたせいだ。
「おーい、嵐山?」
次第に足音が近づいてきた。
―――しろがねくん
声を出す気力はもうない。僕はドアの鍵を開け、そのまま床に倒れ込んだ。
「嵐山!」
驚いたような白金君の声と、慌ただしく近寄ってくる足音を聞いてそちらに顔を向けると、白金君の手が僕のことを抱きとめる。
「嵐山!大丈夫?!ひどい……なんだよこれ!」
「しろがねくん……。」
「大丈夫、すぐ解くから。」
言葉みじかに言ってから、白金君は僕の首と手首を拘束していたベルトを外し、僕のことを座らせようとした。
「だ、だめっ!」
「え?」
「へ、へんなの、入ってて、それで……。」
安堵感と羞恥でぼろぼろ泣きながら言うと、白金君ははっとした顔になって僕に「こっちに寄り掛かって」と言った。恐る恐る白金君に体重をかけると、白金君は僕の腰の方に手を伸ばし、梅田君が入れていったものをゆっくり抜く。
「ひゃ、っ、ぁ!」
身体から出ていこうとするものは、熟れきって蕩けた内壁をじわじわ嬲って、僕を再び快感のるつぼに引きずり込もうとした。
白金君は困り顔で僕の顔を覗き込み、優しく穏やかな声で囁いた。
「嵐山、力んじゃだめだよ。力抜いて。ほら、ゆっくり息吐いて?」
「や、息すうと、びくびくってなって……!」
「大丈夫。しがみついてていいから。大丈夫。ゆっくり息を吐き出して。」
「だ、だめ、むり、」
「大丈夫。息吸って、ゆっくり吐いてごらん。」
―――すって、
ゆっくりはく、
だいじょうぶ、
すって、
それからゆっくり……
白金君の呼吸に合わせて息を吸い、そしてゆっくり吐き出す。白金君は僕の体から力が抜けたタイミングを見計らって、お尻に入れられていた物を素早く引き抜いた。
「っあ!!……っ、は、ぁ、はっ、……もう、イかなくて、いいの……?」
荒い呼吸の合間にそう尋ねると、白金君は微笑みながら頷いた。
「うん。もう終わり。もう大丈夫だよ。」
「おわり…………よかった……。」
―――やっと、おわった……。
その安堵感で一気に気が緩んでしまい、僕は白金君の体にもたれかかったまま目を閉じる。瞼が重くて重くて仕方がなく、これ以上目を開けていられないほどだった。ずっと達しぱなしだった体は熱を帯びていて、「疲労」の一言では片づけられないくらいに消耗しきっている。
―――少しだけ……。
言い訳のように頭の中で唱え、僕は襲ってくる睡魔に身を任せた。
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