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第18話
にこっと笑って僕の頭を撫で、白金君は一瞬遠い目をする。だけど僕がその違和感を確かめるよりも先に、彼が明るく言った。
「ねえ、嵐山今日暇?」
「え?ぼ、僕ですか?あ、は、はい。」
「じゃあ俺の買い物付き合ってくんない?」
「買い物……?」
「そう。従妹の誕生日近くて。」
「あ、えっと昨日話に出た……真帆ちゃん、でしたっけ?」
「そうそう。写真見る?」
「い、いいんですか?」
白金君はポケットからスマートフォンを取り出して画面を操作し、僕にそれを差し出す。画面には長い髪を二つに結んだ女の子がピースサインをしている写真が映っていた。
―――従妹って言ってたけど、白金君と目元が似てるなぁ。
実の妹って言われても信じちゃいそう。
「し、白金君と似てますね。」
「でしょ?うちの母親と叔母さんが双子でさ。俺も真帆も母親にだから、結果的に従兄妹なのに俺たちの顔まで似ちゃって。面白いよね。」
くすくす笑いながらスマートフォンをしまった白金君は「さて」と言ってから僕と本郷君の背中を押した。
「それじゃあうちのお姫様への献上品探しに行こうぜ。」
僕たちは白金君に駅前のショッピングモールに連れて行かれた。白金君は「ある意味」有名人なので、彼を見るとみんなちらちらと視線を送ってくる。
―――たしかに、近寄りがたいのはよくわかる。
喋ってみるとすごくいい人だけど、黙って立っている時の白金君はちょっと怖い。
白金君と「友達」になる前はファッションやアクセサリーのような見た目の派手さが怖い原因かと思っていたけど、「友達」になってみて原因がそれだけじゃないことがよくわかった。きっと白金君が「怖い」一番の理由は、その整い過ぎた容姿だ。
とくに笑っていないときなんてその整い過ぎた容姿とファッションが相まって、迫力がある。あんなきっかけがあって「友達」になっていなかったら、きっと僕は一生近寄らなかったはずだ。
―――僕もこんなふうに派手な格好をしたら、少しは怖がられるかな?
……いや、そういう問題じゃないか。
自問自答してため息をついた時だった。
「冴~!」
黄色い声とともに、金色の長い髪の毛が僕目の前を横切った。
――え?!
だ、だれ?
吃驚する僕をよそに、長い金髪の女子が白金君の胸に飛び込んだ。白金君はその女の子を支えながら、けらけらと笑う。
「なんだ、夏希じゃん。なにしてんの?」
―――あ、この人蒼秀学園女子部の制服着てる。
じゃあ白金君の友達……?
夏希と呼ばれた人は僕に気が付くと、白金君から体を離して首を傾げた。
「なにこの子?あんま見ない顔。」
「友達。北高の嵐山。」
白金君に紹介されてしまったので、僕は恐る恐る頭を下げながら自己紹介をする。
「あ、嵐山です。は、はじめまして……。」
金髪の女子はにこにこ笑いながら自己紹介をし返してくれた。
「神田夏希だよ~。よろしくね。っていうか友達?冴の?」
「あ、え、えっと……。」
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