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 若い男性が女性への花束を買うことは、特に珍しいことではない。それでも、彼らはやはり花束を買うことには僅かの照れを感じてしまうのだろう。時々やってくるこうした男性客は初々しいくらいに緊張していて、見るたびにこちらがどぎまぎとしてしまう。今、この状況もその例に漏れず、僕はほんの少し浮き立つような気持ちを抱えて彼の前に立っていた。 「贈り物でしょうか?」 「あ、はい。えーと……」 「恋人に?」 「え、へへ……そう、ですね」  彼は一見すると恋愛慣れしていそうなお洒落な男の子で、僕は彼と初対面だというのにこの表情を新鮮に感じた。それくらいに、恥ずかしそうに笑っているこの表情が彼に似合わなくて、愛くるしい。――眩しすぎるくらいだ。  ただ、その眩しさに少し目が眩んだので、僕はメモを取るフリをして視線を落とす。 「薔薇の色、決まっていますか?」 「赤で」 「どんな雰囲気の恋人さんなんですか?」 「えー……えーっと、純粋? 透き通ってるような雰囲気かな」 「なるほど。では、ご予算は決まってますか?」 「うーん……去年は五千円だったんですけど……今年もそれくらいでいいかなあ」 「……毎年あげてるんですか?」 「あ、はい。毎年って言っても、これでまだ三回目ですけど」 「へえ……素敵ですね」

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