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第二章~一万色の万華鏡~

「玲維くん、今日は少しはやくお店閉めましょうか? そろそろお客さんも減ってきたし」 「いえ……僕は大丈夫なので。それに駆け込みでくるお客さんもいるかもしれませんよ」 「そう? 無理はしないでね?」  僕の体は僕が思った以上に繊細にできていたらしい。昨夜、暁くんについて考えすぎてあまり眠ることができず、朝が来たら風邪をひいていた。熱こそはなかったが、喉ががさがさとしていてまさしく風邪の前兆といった体調だ。  眞希乃さんは僕のことをずっと心配してくれていたが、仕事ができないほど体調が悪いというわけでもなく、伝染(うつ)すほど拗らせているというわけでもないので、僕はいつも通り働くつもりでいた。ただ、夕食については少し心配だ。作れないこともないが、たぶん眞希乃さんのことだから作らせてくれないだろう。そうなると……今日は眞希乃さんは一人で夕食をとることになってしまう。彼女も休日はひとりで過ごしているから絶対にひとりにしてはいけないなんてことはないが、どうしても気がかりだ。 「――あ、朝霧さん! こんにちは!」 「……。……!?」  悶々と今日の夜のことを考えていると、何やらカッと光が差し込んできた――錯覚を覚えた。声がした方を見遣れば……僕の風邪の原因の一端を担った彼がいた。 「……暁くん」 「今日も来ちゃいました!」  僕が風邪を引いた原因と言っても過言ではない彼……暁くん。まさか昨日の今日で来ると思っていなかった僕は、少し驚いてしまった。嫌というわけではないが、彼とどう接していいのかまだわからないままだったので、……つまるところ心の準備ができていない。

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