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突然の暁くんの言葉に、僕は素直にびっくりしてしまった。つい先ほどまで店員と客という関係だった僕たちと暁くんがこれから同じ食卓を囲うなんて、とてもじゃないが想像がつかない。他人との交流を極力避けてきた僕にとって、今までの日常の中に突然他人が入ってくるということに、どうしても抵抗を感じてしまう。
恐らく暁くんは単純な善意で提案してきたのだろう。だから、どう断ればいいのか、迷った。暁くんはいい人だが、僕は彼と店員と客以上の関係になる気はなかった。彼が僕に薔薇の花束を渡してきた時の表情を思い出すと、余計に。
「あら? 本当? それは嬉しいわあ! お願いしてもいいかしら?」
「――えっ、ちょっと!? 眞希乃さん!?」
しかし眞希乃さんは僕の思いとは裏腹に、暁くんのお誘いに嬉しそうに笑っていた。「そんなあ、悪いわよ」なんて断ってくれることを期待していた僕は、内心焦ってしまう。
「やっぱりご飯はみんなで食べたほうが美味しいものねえ。それに玲維くんも、きっとこのまま帰ったらコンビニで買ったご飯を食べたりするんでしょう? それならせっかくだから暁くんに作ってもらったらどう? 風邪をひいているなら、なおさらちゃんとしたもの食べないとね?」
「で、でも」
「一緒に食べましょう、玲維くん。私、久々に賑やかにご飯を食べてみたいわ」
「……、……眞希乃さんがそう言うなら……わかりました……」
眞希乃さんに押されて、僕は結局断れなかった。
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