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眞希乃さんの家の台所に暁くんを案内する。夜の食卓に僕と眞希乃さん以外の人が入ってくることが今までほとんどなかったため、不思議な感じがした。
暁くんは台所まで来ると、上着を脱いで僕のエプロンを身につけた。ぐいっと袖をまくって身支度を整えている姿は、意外と様になっている。本当に彼は、今まで自分の家族にご飯を作ってあげていたんだなあ、なんて僕はそんなことを思いながら彼を眺めていた。
「冷蔵庫開けても大丈夫ですか?」
「うん。たぶん昨日買ってきた食材がいくらか入っていると思うんだけど……」
「じゃあ、失礼しまーす。……お、秋鮭がちょうど三切れある」
「三切れの方がお得だったから……」
「ああ、あるあるですね。うーん……他には、……野菜と、キノコだ。何作ろうかなあ」
「……簡単なもので大丈夫だよ?」
「そうですね……あ、じゃあ、鮭の味噌ホイル焼きなんてどうでしょうか! 美味しいですよ」
「――おいしそう」
僕が風邪で料理を作れないから暁くんに作ってもらうのだというのに、彼が手際が良いものだからついつい彼の動きを追いかけてしまう。何度か彼に「座って休んでいて」と窘められたが、何故だかじっとしていられなくて彼の後ろをついて回ってしまった。誰かが料理をしているところを見るというのは紋さんがいた頃以来だったので、少しドキドキしていたのだ。
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