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「暁くんは、家に帰ると家族に料理をしてあげているの?」 「いや、今は一人暮らしですよ。高校生までは実家にいたんですけどね、両親共働きだったから俺が夕食を作っていたんです。今は俺が家を出ちゃったから、下の二人がヒーヒー言いながら料理頑張っているみたいですよ、ウケますよね」 「下の兄弟は、男の子? 女の子?」 「中三の弟と、高二の妹。どっちも可愛いんですよ~、俺のことを頼りにしすぎているような気がするんですけど、可愛いから過保護になっちゃうんですよねえ、俺。よくブラコンシスコンってバカにされました」 「……暁くんはいいお兄ちゃんだね」 「ウウン、朝霧さん、あんまり不用意に「お兄ちゃん」って言わないでください……なんだか禁断の扉を開きそうになるから……」 「……意味が解らないな」  会話を交わしている間にも、夕食の準備は着々と進んでゆく。何か手伝おうとも思ったが、さくさくと料理を進めていく彼の手際は見ていて楽しくて、気付けば僕はぽーっと彼を見つめているだけになっていた。  薄切りにした玉ねぎと人参、ブロッコリー、それからちぎったしめじをお酒で下味をつけた鮭と一緒にアルミホイルの上に並べてゆく。味噌とマヨネーズを混ぜたソースをその上にかけて、空気を包み込むようにしてふんわりと隙間なくアルミホイルを閉じる。それをオーブンにいれ、焼いている間に副菜を作ってゆく。副菜は、小松菜とちくわを胡麻と醤油で和えたおひたし。ワカメと豆腐の味噌汁とご飯も準備したら、ちょうど鮭が焼きあがった。 「暁くん、すごい、手際がいい」 「いやあ、それほどでも」 「いい匂い、おなか空いてきた……」 「早く食べましょう。お盆ありますか?」 「あ、こっち」  鮮やかに夕食をつくりあげた暁くんに、僕はつい感嘆の声をあげてしまう。僕よりもずっと長い間家族のために料理を作ってきたという彼は、料理に関しては僕の先輩だ。彼がすごく頼もしく見えてきて、何故だか胸の奥がそわそわとする。
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