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――僕は、彼と一緒にいると、楽しいのか。
それを意識した途端に暁くんのことが怖くなった。恋人になりたいとか、友達になりたいとか、その人の中に僕の居場所が欲しいなんて――僕がそんなわがままを抱いてしまったら、きっとまた天罰が下る。きっと彼もまた、紋さんのように――……
「――朝霧さん!」
「えっ」
「ごはん! 食べましょう! 冷めちゃったら美味しくないですよ!」
「……あ、うん」
いやなものが、フラッシュバックした。暁くんの声で引き戻されたが、一瞬だけ頭の中に浮かんできた悍ましい映像は脳裏に染み付いて離れない。心臓はバクバクと高鳴り、呼吸が苦しい。
誤魔化すように、僕は笑ってみせた。きっと暁くんの笑顔とは全く違うものになったと思うが、せっかくの料理を前にしていやなことを思い返していたら失礼になる。考え事をしていたことを暁くんにも眞希乃さんにも悟られないように、僕は無理に笑ってみせたのだ。
「……朝霧さん、ほら、早く。俺もおなか空いちゃったので」
「うん、ごめんね」
「……」
暁くんとの付き合いは、これ以上進まないようにしよう。彼とは、アムルーズのカウンター越しに会話をするくらいで、ちょうどいい。そんなことを決意しながら、僕はようやく箸をとった。三人で「いただきます」と言うと、これが最初で最後の暁くんとの食事なのかと少しだけ切なくなる。
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