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「な、なにか?」
「うん? ううん、なんでもないよ、朝霧さん」
暁くんは僕が恥ずかしくなるくらいに優しい表情をしていて、参ってしまった。そんな顔で見つめられていると、胸がいっぱいになって食事が喉を通らなくなる。そんなに僕が食べているところを見るのが楽しいのだろうか。
「――ふふ、暁くんは本当に玲維くんのことが好きなのねえ」
「はい」
「また、うちに来て一緒にご飯食べない? 私も、暁くんが来てくれると嬉しいわあ」
「えっ、いいんですか!?」
もくもくと食べながら、僕は暁くんと眞希乃さんの会話に咽そうになった。僕が暁くんとの付き合いを減らそうとつい先ほど決意したばかりだというのに、それを早々に崩されそうになっているではないか。
「えーと、じゃあ次に来るのは~……あ、俺しばらくバイト忙しいんだった……!」
「あら……そうなると、ずっと来れないの?」
「あ、来週の木曜日! 木曜日なら大丈夫です!」
「木曜日ねえ……でも、木曜日はうちが定休日で……。定休日は玲維くんもうちにはこないのよ」
「そんな……! じゃあ、その次となると……」
「ああ、それとも……木曜日に玲維くんと二人でご飯を食べてきたらどう? 私のことはおかまいなく」
「それ、アリですね!」
――アリじゃない!
つい声をあげそうになってしまった。なぜ二人は当事者を抜きにして当然の如く食事の予定を立てているのか。二人で食べる、なんて……今より状況が悪化しているじゃないか。
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