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「ま、待って、僕は休日は一人で過ごしたいから、」
「夜だけ……ダメ?」
「だ、ダメ……!」
「朝霧さん……俺と一緒にご飯食べるのは、イヤ?」
「……っ、イヤ、っていうわけじゃなくて、……ほら、僕なんかよりも違う人と食事に行ったほうが楽しいよ」
「俺は、朝霧さんと、ご飯が食べたいんです!」
「……でも、……」
どうすれば彼を傷つけないように断れるだろう。曖昧な言い回しをして断ろうとしても暁くんはストレートに僕に迫ってくるから、回避できそうにない。だからといって、眞希乃さんを喜ばせてくれた彼に乱暴な言葉を投げつけて悲しませるのも憚られるので、どうすればいいのかわからない。
僕がもごもごとしていると、眞希乃さんが困ったように笑いだす。眞希乃さんが考えていることは、一応理解できる。眞希乃さんは、僕に居場所を作って欲しいのだ。僕に、誰かを好きになって欲しいのだ。けれど、理解しているからといってそれを受け入れることができるかといえばそうではなくて、浅ましいことに僕はそんな眞希乃さんの想いを億劫に感じている。僕を大切に思ってくれているからこその想いだから煩わしく思えるわけもなく、余計に重荷に感じている。
「う~、朝霧さんがウンって言ってくれない……仕方ない、今回は諦めます……」
「……ごめん」
「大丈夫大丈夫、謝んないでください。こういうのはあたって砕けろですからね、誘ったことに意味があるんです! もし朝霧さんの気が向いたら、一緒にご飯食べに行きましょうね!」
「……うん」
僕が渋っていれば暁くんはしょぼんとしながらも引いてくれた。せっかく誘ってくれたのに、という罪悪感はあるが、正直ホッとしてしまう。
これで、彼との関わりは徐々に薄れていくだろう。一週間も会わないでいれば、彼の中の僕への衝動的な感情も、落ち着いてくれるに違いない。
食事が終わりに近づいてゆく。綺麗になっていく食器を見ていると、彼と共に過ごす時間の終わりを見ているようで、物悲しくなってくる。本当は、また彼とこうして賑やかに食事をしてみたいが、……それは、僕が望んではいけないことなのだろう。
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