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彼が、笑う。
彼の笑顔は――眩しい。僕が恐ろしくて仕方なかった闇を照らしてくれるような、光のよう。
「……まだ、怖いんだ。人に触れることが、怖い」
そのまばゆさに、紋さんと一緒に居た頃に眺めた明るい空を思い出す。夜は必ず明けるのだと、そう僕に教えてくれるような空だった。暁くんの笑顔は、まるであの空のように澄んでいて、もう一度あの空が見たいと――そんな気持ちを僕の中で奮わせる。
「でも、暁くん。僕は――……」
一歩、彼に近付く。
脚が震える。
頭の隅っこで、血濡れた哀しい映像がジカジカと昏く光っている。
それでも僕は、――
「――もう一度、恋がしたい」
――空を仰ぐ勇気が欲しい。
「朝霧さん」
掠れる声で、僕は暁くんに訴えた。
暁くんは本当に嬉しそうに笑って、――僕を、掻き抱いた。
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