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交代でシャワーを浴びると、夜の十時を少し超えるくらいになった。まだ寝るには早い時間で、正直なところ僕はここからの時間に苦痛を覚えた。彼と二人きりでこの部屋で、何をすればいいのだろう。何を話せばいいのだろう。駅で抱きしめ合ったことを思い出すと恥ずかしくなってきて、余計に頭が回らない。あの時に彼の体から感じた温かさを思い浮かべるとくらくらとしてきて、彼の目を見つめることができない。
空気に質量があるような、そんなずしりとした熱っぽい雰囲気に耐えられなくなって、僕はキッチンに逃げる。彼に背を向けて、冷蔵庫を開けながら、平常心を取り繕って彼に声をかけてみる。
「……少し、何かを食べようか。何も食べてないし……」
「いいんですか? 俺、ちょっとお腹空いたかも」
「ちゃんとしたもの食べる? それとも、おつまみくらいでいい?」
「おつまみでいいですよ。こんな時間だし」
「お酒は?」
「ん~、やめておこうかなあ。酔った勢いで変なことしたくないし」
「へ、……へんなことって」
「はは、俺、別に酒癖悪くないんですけどね。そんなに飲まないし。でも、……ちょっと緊張しているから酔いやすいような気がして。今日は控えておきます」
「……そ、っか」
――暁くんも緊張しているのか。
それを知った瞬間、ぼわ、と顔が熱くなるのを感じた。そして余計に胸が痛くなった。
その穏やかな横顔で、何を考えているのだろう。そう思うと目が回りそうになった。
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