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 暁くんが、嬉しそうに笑う。面映ゆくて、僕は彼から目を逸らす。  胸が躍るようなこの感覚を、心から受け入れることができるようになりたい。そう願えるようになったことが、嬉しい。ただ痛みを伴うだけのこの恋に、少しだけ、仄かな甘さが滲みだす。  僕が黙り込んで煮物をぼそぼそとつついているからか、暁くんがそわそわとし始めた。何か話さなければ、そう思うが言葉が浮かんでこない。 「っていうか、朝霧さん」 「ん、」 「俺があげた薔薇、そこに飾っててくれたんですね!」 「――ッ!!」  明るい声が耳を劈いて、僕は箸を落としそうになった。言われて、ようやく気付く。棚に堂々と飾っていた、暁くんが僕にくれた白い薔薇の花束。あの薔薇にこっそりキスをしたこともあったと思い出すと、羞恥心で顔が沸騰しそうになる。暁くんがそんなことを知る由もないのだが、その薔薇を暁くんに見られると穴があったら入りたい気持ちになった。 「俺、色々花のこと勉強したんですよ。そうしたら、白の薔薇って片想いしてる相手にあげることも多いらしいですね? 相思相愛になりたいですって意味で。白を選んだのはたまたまだったんですけど、なんか上手く当てはまっちゃいましたね?」 「……っていうか、暁くん。あのときの赤い薔薇って誰にあげたの? 恋人にあげるってきいたけど……きみ、僕とこうしているから……」

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