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暁くんは、例えるならば太陽のような子だと思っていた。まさしく「夜明け」のように、僕を夜から朝へ引っ張り上げてくれるような……そんな子だと。
その感覚は、間違ってはいないのだろう。暁くんは紛れもなく僕にとっての太陽で、眩しくて仕方のないひと。しかしその眩しさは、決して自然に放てるものではなく、彼が足掻いて生き抜いた証なのだと、今初めて知った。
僕を好きになってしまったとき、暁くんは苦しんだのだろう。それでも僕を好きでいたいと、願ってくれたのだろう。だからこんなにも眩しくて、こんなにも僕は彼に焦がれるのだ。
「……ねえ、朝霧さん」
「うん」
「……胸が、痛い」
暁くんがそっと僕の頬に手を伸ばす。一度、こうして触れられようとしたときに、彼の手を振り払ったことがある。今でも、僕はあの時と変わっていない。頭の奥で、じりじりと粘質の赤が這っている。それでも。
「朝霧さん……いやなら、言ってくださいね」
「……いやじゃないよ」
「本当に?」
「うん」
頬を撫でられて、そっと顔の向きを変えられる。目を合わせて、親指で唇の皮膚にそっと触れられる。
振り払わなかった。怖いと、僕の奥の方で叫ぶ声が聞こえても。僕は、彼と恋がしたかった。
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