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二人して傷ついて、それでも二人して恋をして、僕たちは少しばかなのかな、なんて思う。しかし、そんなばかなところがどこまでも愛おしい。
暁くんは僕の頼みを聞くなり、ふにゃ、と力が抜けてゆくように笑った。「もちろんです」と泣きながら呟いて、ぎゅっと僕を抱きしめる。
「ねえ、朝霧さん」
「うん」
「……俺もね、朝霧さんとセックスするのが少し怖い。朝霧さんのこと、ぐちゃぐちゃにしたいって思っちゃう気持ちが、焦りから来ているような気がして、……自分自身を裏切るような、そんな怖さがあるんです。でも、俺も朝霧さんと一緒で、朝霧さんとセックスがしたい。朝霧さんが好きだから、朝霧さんとしたい。だから、怖いけど、朝霧さんと一緒に……進んでみたい」
「……うん」
「朝霧さん。なんか、色々考えちゃいますけど……楽しいエッチ、しましょう。二人で、いい夜にしましょうね」
二人で顔を合わせて、ふは、と笑って、キスをする。暁くんが部屋の電気のリモコンに手を伸ばす。部屋を暗くして、それからもう一度目を合わせて、暁くんが「いい?」と聞いてくる。「いいよ」と答えると、暁くんが濡れた目を細めて、もう一度、キスをしてきた。
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