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「だめ。声、我慢しちゃだめですよ、朝霧さん」 「でも、はずかし、」 「恥ずかしくないよ、朝霧さん……俺、朝霧さんの声が聞きたい。大丈夫だよ、俺しか聞いていないから。いっぱい声だして、俺に朝霧さんの気持ちいいところ、教えて」 「――ひ、……あっ……」  ずぶ、と耳の中に舌がねじこまれる。そして、軽く脚の間に太ももをいれられて、ぐ、ぐ、と敏感なところを刺激された。 「あ、あかつきくん、……あっ、……、あ、あ、」 「そう、上手です……もっと声、出せますね?」 「あっ、……あ、……は、……ぁあっ、あ、」  体を軽く揺すられながら、耳をいじられる。声を出すたびに、ちゅっと音をたてながら耳にキスをされて、ぐんっと太ももで脚の間を押し上げられて、さらに甲高い声が出てしまう。でもそれが、まるで褒めてもらっているようで、嬉しくて……どんどん声が上擦っていって、恥ずかしいという気持ちが薄れてゆく。 「あっ……、あッ、ぁ、……あかつき、くんっ……、あ、」 「可愛いよ、朝霧さん」 「暁くん、……ん、ぁっ……」  縋り付くように彼の背に腕を回して、声を出した。体が熱くなるほどに、心のこわばりが溶けてゆく。彼に「可愛い」と囁かれるたびに、許されるような気分になってゆく。  服の中に手をいれられて、自分でも驚くほどに素直に甘い声が出た。そうすればまた「可愛いね」と言われて、僕というものを構成する何かが蕩けていきそうだ。 「あ……」  少しずつ、服がたくしあげられてゆく。裸を見られることなんて恥ずかしいことでもないはずなのに、今、こうして火照っているこの体を見られると落ち着かない気持ちになった。  暁くんは起き上がり、僕を見下ろすと、ゆっくりと手のひらで僕の体を撫でる。じわ、と触れられたところが温かくて、撫でられるほどに気持ちよくなっていく。 「綺麗な体だね、朝霧さん」 「……きれい、なんかじゃないよ……」 「俺が綺麗だと思ったら、綺麗なんですよ。朝霧さん……すごく、綺麗だよ」 「暁くん……、あっ、」  暁くんが僕の胸に唇を寄せる。そして、また音をたてながらキスをしていった。ちゅ、ちゅ、と音が響くたびにゆるい刺激が肌を震わせて、体がビクッと跳ねる。リップ音とシーツがくしゃりと鳴る音、そして僕の声が静かな闇の中に溶けていって、ふわふわと甘い夢をみているようだ。 「あっ……あっ……、ん、……ぁ、ん……」 「可愛いね、朝霧さん」 「んんっ……」 「ほんと、可愛い……大好き、朝霧さん……」 「あっ……! あ、あぁ……」  暁くんが僕の体の下に手を差し入れて、軽く背中を持ち上げる。そして、乳首をちゅうっと吸い上げた。身体中に優しい口付けをたくさんされて火照って敏感になっていた僕の体は、それだけでもひどく感じてしまって、僕はされるがままに仰け反って声をあげる。

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