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「おはようございます、眞希乃さん」
「おはよう、玲維くん……って、あらあ? 暁くんもおはよう。今日は一緒なの?」
暁くんは授業が昼頃からだということで、僕たちは一緒にアムルーズに行った。まだ開店前の店先でカスミソウを手にしていた眞希乃さんは、僕たちを見るなり少し驚いたように目を丸くする。
「昨日、暁くんが僕の家に泊まったんです」
「……まあ、そうなの」
眞希乃さんは僕の言葉を聞くと、柔らかい笑顔を浮かべた。きっと、察したのだろう。彼女の笑顔の喜びの中に浮かぶ、一抹の寂しさは……きっと、母親である彼女が、心の奥のほうに閉じ込めた、僕にとっての一番が永遠に紋さんであってほしいという隠し込んだ願い。そんな彼女の儚げな笑顔が、カスミソウに飾られて切なく映る。
「……眞希乃さんは、今、何しているんですか?」
恐らく、暁くんもそんな眞希乃さんの心に気付いるただろう。少し遠慮がちに、眞希乃さんに話しかける。
眞希乃さんは微笑んだ。
「お供えしているお花、そろそろ交換しないとなの。カスミソウはね、あの子が大好きな花で、ずっとこのお花を飾っているのよ」
「……紋さんの、」
「……暁くんも、来る? まだ、紋に会ったことはなかったでしょ?」
眞希乃さんが手招きする。朝風に揺れたカスミソウが、ひらひらと瞬いてた。
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