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これからアムルーズの開店の準備に入るので、暁くんは邪魔にならないようにと一旦家に帰ると言った。ひっきりなしに客が来るというわけでもないので、別に彼がここにいても構わないのだが、敢えて引き留めない。
「何か、難しいことを考えているの?」
「……やっぱり、ばれます?」
「わかりやすいよ」
暁くんはカウンターに肘をついて困ったように笑いながら、僕を眺めている。
「うーん……俺も、自分が今、何を考えているのか、わからないんですよね。でも、さっき見た紋さんの笑顔が……びっくりするくらいに可愛くて、……自信なくしちゃったっていうか」
「……自信?」
「……俺、朝霧さんより五歳も年下で学生でしかも男ですよ? 俺でいいのかなあ
……」
「今更って感じがするけど……。それ、気にしてるの?」
「いや……別に気にしてない」
「もう、どうしたの、暁くん」
あからさまにしょげている暁くんは、悩まし気な様子だ。僕がバインダーで軽く頭を叩くと、ちらりと上目遣いに僕を見上げてくる。
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