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「朝霧さん――」  暁くんが切羽つまったような声で、僕を呼ぶ。掠れていて、それでいて湿っぽくて。ぞくぞくして、腰が砕けそうになったから、つい暁の背中に爪をたててしまった。  顔を上げれば、照りつけるような熱視線。見つめ合うと、喉が渇きそうになる。僕に焦がれるようなその瞳が、まるで僕を責めているようだ。「足りない」と言われているようだ。きみの瞳に、僕はどう映っているのだろう。ちゃんと、僕はきみを欲しがっているように見えているのだろうか。  ぐ、と背を伸ばす。激しく心臓が高鳴る。  自分から触れるのは、怖い。まだ、怖い。どんなに彼との思い出で恐怖を覆ってしまっても、僕の深いところでそれはいつまでもグツグツと煮立っている。それでも僕は、きみに応えたいのだ。ここまで連れてきてくれた、きみに。  軽く、唇を重ねる。バクン、と心臓が跳ねて、体の力が抜ける。暁くんのまつ毛に熱が乗り、腰を捕まえられて、今度は彼から僕を捕らえるようにキスをしてきた。

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