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 かあ、と顔が熱くなる。くらくらと目眩がする。手のひらからどくんどくんと彼の心臓の鼓動が伝わってきておかしくなりそうだ。全身が心臓になったような緊張と興奮が僕を包んで、頭の中が真っ白になる。  僕を見つめる暁くんの瞳が、ゆらゆらと燃えている。その瞳に導かれるように、僕はゆっくりと彼の体に乗せた手を滑らせる。蕩けるように熱い彼の肌は、僕の手のひらにしっとりと吸い付いて、彼が生きているのだという生々しい感触が怖いくらいに伝わってきた。 「そのまま……触ってて」 「う、ん……」  暁くんが軽く僕を抱き寄せて、僕の耳元に唇を寄せ、耳たぶに吸い付いてくる。ちゅ、とこそばゆい音をたてられて、ぱちんとはじけるような快感が頭の中に生まれ出る。 「んっ……」  びく、と体の奥が震える衝動に、思わず僕は彼の体にぎゅっとしがみついてしまう。 「――ン、……」  その瞬間、彼が僕の耳元で小さく声をあげた。  僕の耳孔に息を吐きかけるように、色っぽい声を、漏らした。 「朝霧さん……もっと、触って」 「……、暁、くん……」  顔が茹だるように熱い。僕が小さく体を震わせて、触れた手のひらをふらつかせる度に、彼が僕の耳元で熱い吐息をこぼす。ゾクゾクと体の芯が震えるような、じわりと体の奥から蜜が染み出てくるような、そんな言葉にできないような興奮が僕を苛める。  

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