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 零れた声は、本心だった。暁くんの言葉に殻を溶かされて、ふわふわと浮ついた感情が唇から落ちてゆく。暁くんはそんな僕の声を聞くなり、ゆるりと僕の体を撫でてきた。大きな手のひらで、ゆっくりと。 「あ、……は、ぁ、……」  下から上に、すう、と撫であげられると、勝手に体が仰け反った。じり、と思考がしびれるような快感に、たまらず目を閉じる。そのまま体全体を堪能するように、マッサージでもするかのように、それでいて艶めかしくたっぷりと撫でられて、頭がぼんやりとしてきた。 「朝霧さん……目、開けて。俺のこと見てて」 「ん、……暁、くん」 「朝霧さんのことを気持ちよくしているのが俺だって、ちゃんと見てるんだよ」  暁くんに誘われるようにして瞼を開けて、ちらりと視線を落とすと、暁くんがふっと微笑んでいた。暁くんはちゅうっと僕の乳首に吸い付いて、僕を上目遣いに見つめてくる。 「あっ……、それ、……や、……おかしくなるから、……」 「ならないよ、大丈夫」 「んっ、ぁっ……!」  舌先で乳首を嬲られて、つんと鋭い甘みに囚われる。ここをいじられて、快楽を得てしまうことにまだ慣れていなくて、「気持ちいい」とあまり認めたくないが、それでも出てしまう声は蕩け切っている。 「あっ……、あ、……ん、ぁっ」  彼が、僕の体を愛撫している。その姿を見ていると、きゅう、と胸が締め付けられるような感覚に陥った。普段は温厚な大学生なのに、こうして僕と二人きりのベッドの上では、大人の男として僕を乱れさせる。今、この世界で彼のこの一面を見ることができるのは僕だけだ。その些細な事実がどうしようもなく嬉しくて、大人げもなくどきどきとしてしまって、もっと、彼の中の、僕だけが見ることができる“特別”を知りたいと、ふつふつと感じだす。  

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