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第3話
パスタ屋でお気に入りのパスタを前にしても、知矢の食はあまり進まなかった。
原因は分かっている。さっき兄に声をかけてきた三人の女の人たちのことが心に引っかかっているのだ。
彼女たちは大人っぽくて綺麗だった。
お兄ちゃんの隣に並んでも、僕よりは絵になるかもしれない。
そう考えると胸がもやもやする……早い話がやきもちである。
「知矢、どうした? 食欲ないのか?」
典夫が心配そうに聞いてくる。
「……ううん。そんなことない。ね、お兄ちゃん」
「ん?」
「さっきの女の人たち、みんなすごく綺麗だったね」
「そうかー?」
兄が少し眉をひそめて知矢を見つめる。
「……知矢、おまえ、なんか余計な心配してないか?」
「だって……」
だっていろいろ考えてしまう。
きっと大学にはさっきの人たちみたいな綺麗な女の人がたくさんいるんだろうし。
例えば大学一の美人……ミス・キャンパスとか言うのだろうか……そんな女の人がお兄ちゃんを誘惑したらどうしようかとか。
大学にいるあいだのお兄ちゃんのことは僕には知ることができないから。
お兄ちゃんが魅力的すぎるから、僕は不安でたまらないんだ……。
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