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第8話

翌日、職探しに外に出て職業安定所に来たのはいいけれど、担当者には嫌な顔をされた。 きっと早くに結婚なんてするからだとか、思われてるんだろうな。 結局いい仕事は見つからなくて、街をプラプラと意味もなく歩く。 そうして見つけた道の端においてあったフリーペーパーを取ろうとすると、突然後ろから腕を掴まれた。バッと振り返ると、知らないおじさんがいて、どうしたんだろうと首を傾げる。 「ねえ君、仕事探してるの?お金無いの?」 「え…ぁ、はい」 そう言うとおじさんはニンマリ笑った。なんだか、嫌な笑み。 「おじさん、お金持ってるんだ。困ってるなら、援助してあげるよ。その代わり…わかるよね?」 「っ!?」 掴まれていた手が、おじさんの股間に当てられた。そこは何故かもう膨らんでいる。驚いて手を引いたけれど、おじさんの力が意外と強くて離れてくれない。顔が引きつる。 …でも、金をくれるって言った。 「な、何すれば、いいんですか」 「そりゃあ…おじさんのコレを君のお尻にいれて…」 何だ、それだけか。俺は男同士でセックスしたことは無いけれど、ハマればいいって言うし、何よりそれだけで金が貰えるなら、いいのかもしれない。 こくり、頷いた時だった。 「───おい」 低い、聞いたことのある声が聞こえてきておじさんの後ろを見れば、昨日メールをくれた菊池が立っていた。 「そいつから手を離せ。」 「菊池、大丈夫だよ。今話をしてて…」 「…今すぐ手を離して消えろ。」 菊池の威圧的な態度に怯えたのか、おじさんはすぐに去ってしまった。ああ、さようなら、俺の生活費…。 ショックで俯いていると、今度は菊池が俺の腕を掴んだ。そのまま、どこかに向かい歩いていく。 「お前、援交紛いな事をする程金がねえのか?」 そう言えば、菊池には離婚したことを言ってなかった。結婚してるのに援交しているクズだなんて思われたくなくて、ちゃんと理由を説明する。 「うん。離婚したんだ。子供は俺の所。」 「チッ…俺もタダでお前に金をやれたらいいんだけどな、流石にそれは難しい。」 「あはは、そりゃそうだよ。」 「だから、さっきの野郎と同じ条件で、金をやる。」 菊池の言ってる言葉の意味があまり理解できなかったけど、金をくれるならいいやって、腕を引かれるままに歩いた。

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