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第6話
時雨と光、3人での生活も慣れてきた。いまだに光の夜泣きは大変だが、赤ん坊は泣くのが仕事だ。俺が大学に行ったり、時雨が仕事に行ったり。そんな俺達と同じように、光も毎日仕事をしている。
例え、そのせいで俺達が寝不足になったとしてもそれでいいのだ。光の仕事に付き合うと決めたのだから。
でも最近、光の夜泣きの種類を見分けることが出来るようになった。ミルクが欲しい時、おむつを変えてほしい時、寂しい時。泣き方にもいろいろあるんだなと、思う今日このごろ。
「蒼汰。光、早く言葉覚えねーかな」
「そうだなぁ。でも、ご飯を1番に言いそうだな。光、最近腹減ったら「んまっ」て言うし」
「何それ!俺聞いてないよ」
「お前が寝てるからだろ!って、俺もう時間だから大学行ってくる!」
「行ってらっしゃい!俺、今日仕事休みだから光とおとなしくしてる」
「だっ!」
珍しく休みな時雨と光に見送られて、俺は大学に向かった。
「そーた、おはよう。って今日も見事に寝不足らしいな」
「まぁな。でも最近は、光の夜泣きで起きた後も寝れるようにはなったんだぜ」
「そっか。それより、また光くんの服買ったからあげる!いやぁ、赤ん坊の服は可愛くていろいろ買っちゃうわ」
「マジか!ありがとな。今度、時雨と光と一緒にお礼に行くから」
時雨との付き合いにも、光のことも理解してくれている大切な友達の彰 からベビー服を数枚貰った。1度紹介した光にメロメロらしい彰は、こうして何度かベビー服を買っては俺にくれた。
「じゃあ、お礼の品は光くんの写真でいいよ」
「なんか変態そうだから、それはヤダ」
彰に、光の写真を渡すのだけはやめよう。なんかニマニマして、1時間でも2時間でもその写真を眺めてそうだ。
でも、何かプレゼントを買うお金もないしな。
「彰。やっぱ、お礼の品を買うお金ないから光の写真あげるわ」
「マジでか!」
最近撮ったやつで、光の顔がぶれてちゃんと見えないやつをあげることにした。
そして無事大学も終わり、今日の晩ごはんの買い物をして家に帰って来たんだけど。大家さんが、光を抱っこしながら俺らの部屋のドアの前でうろうろしていた。
「大家さん、どうしたんですか?」
「あら、蒼汰くんおかえりなさい。今ちょっとお客さんが来てるみたいで」
大家さんから光を受け取って、音をたてないようにドアを開けた。その瞬間。
「帰れ!!バカ野郎!!!」
時雨の怒鳴り声が聞こえた。
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