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第4話

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ 「おい、日向……勝手に私の部屋に入るなと――っ……!?」 襖に背を向けて、いつも通り本を読んでいる父さんが――案の定、僕が勝手に入ってきたと思い込み鬼の形相を浮かべながら此方へと振り返る。 「……なっ……何故、今更貴様が此処に……っ……貴様はこの家から逃げた臆病者だろうっ……」 「……はいはい、昔と変わらず……五月蝿いね……日陰兄さんは――。可愛い可愛い兄さんの子供である、ひなたが酷い目に合ってもいいの?」 「ひ、日向……日向―――!!日和、貴様……日和に何をした!?」 世界が目まぐるしく――ぐる、ぐると駆け巡りボーッとした頭の中で珍しく慌てている父さんの声を何となく聞いた僕だったが情けない事に体をピクリとも動かせないどころか――声すら満足に出せない。 ―――すると、 体の自由が効かない僕を良いことに、そのまま叔父さんは僕の無防備な体を――父さんの部屋に敷かれたままの布団の上へと、そっと降ろした。 「そんなに―――ひなたが大事?そりゃあ、そうか……日陰兄さんの大事な奥さんの美桜さんとの子供――だもんね。でも、そんなの……酷いよ……兄さん。俺が、どれだけ――兄さんの体に触れたいと思った事か――兄さん、俺……兄さんの事が……」 「―――な、何を……するっ……!!?」 「ずっと……好き……だったんだよ……口をきかなかったのも――兄さん、それに勘づいてた貴方に……拒まれていたから仕方なく我慢してた。でも……でも、本当は――貴方を俺だけのモノにしたかった……体も、心も――――」 と、目まぐるしく駆け巡る強烈な目眩と先ほどから襲う頭痛に必死で耐えている僕の半開きになった目に、ニヤリと口元を歪めて醜悪に笑う日和叔父さんが――驚愕に目を見開き動揺している父さんの体を押さえ込んで畳の上へと強引に組み敷く様子が飛び込んでくるのだった。

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